セカンドキャリアや引退後の生活として、地方移住し農業を始めたという方は多くいらっしゃいます。
しかし、残念ながらうまくいかず借金を抱えてしまう人も。
そこで、本記事のテーマはこちら。
農業で借金地獄になったら今すぐすべきことを解説
また、なぜ農業で借金地獄に陥るのか、についても詳しくお話ししていきます。
せっかくの人生を借金でつぶさないために、やるべきことをご提案いたします。
ぜひ最後までお付き合いください。
農業で借金地獄になったらすべきこと

農業で借金地獄になったらすべきことは以下です。
- 今後も農業をしたいなら任意整理
- もう農業をしないなら自己破産
”任意整理と自己破産とはなんだ?”
という声が聞こえてきましたので、先にご説明をさせてください。
任意整理も自己破産も『債務整理』とよばれる合法的に借金を減らす手続きの一種です。
債務整理には4つの方法があります。以下の表をご覧ください。
種類 | 内容 |
任意整理 | 貸金業者などの債権者と直接話し合い、利息を減らしてもらったり、毎月の返済を長期分割にしてもらう手続き。 手続きも裁判所を介さず簡単なため、利用者が最も多い。 |
過払い金請求 | 利息を多く払いすぎた場合に、債権者へ申し立てをして返還してもらう手続き。 裁判所を通さず手続きが簡単。任意整理の一環としておこなわれることが多い。 |
個人再生 (民事再生) |
裁判所で借金そのものを減額してもらう手続き。 最大8〜9割まで減額が可能。 |
自己破産 | 借金の返済義務そのものをなくしてもらう手続き。 裁判所を通すため手続きは複雑。また、保有している資産のほとんどを失うため、リスクは大きい。 |
どの手続きになるかは、相談者さまの環境によって大きく変わるのです。
債務整理をするとどんな風に変わるのか、について具体的な事例は以下で見られます。
本記事では農業で借金地獄になった場合を想定し、2種類をご提案しています。
では、早速見ていきましょう。
今後も農業をしたいなら任意整理
まず、借金返済後も農業を続けていきたいなら「任意整理」が有効です。
理由は3つ。
- 資産が残るから
- 連帯保証人に迷惑をかけないから
- 返済活動も融通がきくから
資産が残るから
他の債務整理方法では、農業による借金だけでなく他のローンや借入も手続き対象になってしまいます。
もし、農地や農機具も担保にしているなら、返済の代償として失う場合も。
農地がなければ農業を辞めざるを得ませんよね。
そこで任意整理です!
任意整理では、自分で手続きする借金を選択できるため、担保にしている農地を対象から外せます。
大切な商売道具や環境を失わずに減額したいなら、任意整理がベストです。
連帯保証人に迷惑をかけないから
連帯保証人がついている借金を手続きしてしまうと影響が出るので困る……という相談者さまもいらっしゃるはず。
特に個人再生(民事再生)や自己破産では、保証人への影響は必ず発生してしまいます。
債務整理手続き後に本人は返済を免れても、連帯保証人の責任はそのままなので、大抵は連帯保証人へ一括請求がいってしまうのです。
その後は、連帯保証人との人間関係も雲行きが怪しくなるでしょうし、うかうかと農業なんて続けられないかもしれません。
しかし先ほど述べたように、任意整理をすれば、対象の借金を選べますので、連帯保証人がついている借金だけ外すことが可能なのですよ!
返済活動も融通がきくから
任意整理は利息の減額に加えて、残高の長期分割が可能になる手続きです。
分割は通常3〜5年を目安としています。
しかし、交渉次第ではもっと期限を延ばしてもらうことも可能でしょう。
貸金業者との直接交渉ですので、相手に納得してもらえるように交渉を進めれば、より有利な条件にもっていけるのですよ。
たとえば……
- 5年の予定を7年にしてもらう
- 繁忙期だけ返済活動を一時止めてもらう
農業は先の読めない厳しい環境での仕事ですから、安定した収入が見込めない時期もあるはずです。
それゆえ、交渉によって条件を変えられる可能性があるという点は任意整理の特権とも言えます。
しかし、重要なポイントが1つあります!
弁護士に依頼すること
任意整理はあくまでも貸金業者との直接交渉です。
お金のプロを相手に、素人がうまく交渉を進められる保証はどこにもありません。
相談者さまお一人で交渉しても、話を聞いてもらえないことだってありえます。
そこで、任意整理の実績がある弁護士へ依頼するのです。
弁護士なら貸金業者との交渉にも慣れていますし、相談者さまにとって有利な条件で返済していけるように交渉を運んでくれますよ。
ただし、どの弁護士へ依頼をするかがとても重要です。
債務整理の実績が多い法律事務所を選ぶと、交渉のレベルや減額の目安もきっちり説明してくれますので、安心です。
債務整理にとにかく強い事務所として有名ですよ。
地方在住でも無料で相談が可能ですし、匿名でもOKです。
メールや電話相談も受け付けていますので、まずはお問い合わせくださいね。

もう農業をしないなら自己破産
次に、もう農業をしないという場合には「自己破産」がおすすめです。
自己破産では、借金をすべてゼロにする代わりに、持っている資産のすべてを手放す必要があります。
つまり、農地や農機具など農業に必要な資産も失ってしまうということ。
しかし、農業を辞めようと思っているなら、土地や農機具はなくても問題ないですよね。
農地に関しては売りに出さざるを得ませんが、売れなければ回収されないケースもなかにはあります。
自己破産だけは避けたほうがよい、とどこかで聞いたことがあるかもしれません。
しかし、資産を失っても「農業を辞めるので関係はない」というなら、自己破産のほうが手っ取り早く借金を解決できるでしょう。
そうは言っても、リスクが大きいのが気になるところ。
自己破産を検討する前に、まずはリスクの少ない任意整理や個人再生(民事再生)で借金を減らせるかを、客観的に見てもらうべきです。
どの方法が良いかは弁護士に相談すれば無料で教えてもらえますよ。
農業で借金地獄に陥る要因

農業でつくった借金を解決する方法をご紹介しました。
それでは、そもそも農業で借金地獄に陥ってしまう要因はなんでしょう。
東京商工リサーチが発表したデータによると、2019年における野菜作農業での倒産件数は過去20年間で最多の37件となりました。

引用:東京商工リサーチ
農業で抱えきれないほどの負債をつくり、泣く泣く事業を辞めてしまう方は多いのです。
農業には費用がかかる
農業を始めるだけでも高額な費用がかかります。
全国新規就農相談センターによる「平成28年度新規就農者の就農実態調査」では、就農初年度の費用平均額は569万円と公表されました。
そして、就農1年目での作物売上平均額は259万円です。

引用:農業をはじめる.JP(平成28年度新規就農者の就農実態調査PDF)
また、軌道にのるまでに時間もかかるため、売上が発生するまでの生活費は全額自己負担です。
準備をするだけでも、高額な資金が必要とわかりますね。
農作物の価値が下がっている
また、農作物の価値は毎年変動します。
昨年は良かったけど、今年は大幅に下落した……というケースも多々あります。
たとえば、収穫量と需要が見合わず、獲れすぎたため価格が下がってしまうことも。
一生懸命に働いて良質な作物を生産しても、採算が取れずに借入をしないと運営が続けられない状況に追い込まれてしまうのです。
天候や災害などの自然現象に振り回される
そして、農業はどんなに技術があっても、仕事相手が「自然」です。
天候が原因で、いつもどおりの収穫が見込めないこともあります。
台風や猛暑、大雪、地震など。
1年だけなら翌年から頑張って回収すれば、なんとかいくかもしれません。
しかし、異常気象が何年も続いたら……。
自分の意志とは関わりなく、収入が奪われてしまう可能性がある点が農業の怖いところです。
農業をビジネスとして指導してもらえない環境
農業を始める理由は人それぞれです。
農業経験がないサラリーマンだった人が農業を始めて、挫折してしまうことだってあります。
そんな事態を避けるために、就農を決めるときには、自治体から就農支援金を受け取る方も多いでしょう。
条件は各自治体によって異なりますが、多くの場合、長期の経営計画を提出するはずです。
ところが、最初の経営計画はしっかり立てるものの、実際に農業を指導してくれる人が周囲にはあまりいないのでは?
農業をビジネス視点できちんと指導してくれる人がおらず、いつの間にか農協から借入をし、借金地獄の経営となってしまう農家さんもいるのです。
農業で借金地獄になるのには農協も関係している

少々前述しましたが、農業で借金地獄になる要因については「農協」との関係も挙げられます。
農協は、組合に加入した農家に対して、さまざまな支援をしてくれるイメージがありますよね。
しかしながら、農家が農協と関わることで借金を作ることにつながってしまう場合があるのです。
農家と農協の密接な関係性
一般的に農家は農協に加入することで、多くのサポートを受けます。
(農業の技術指導・資材の購入支援・直売所の設置・保険・融資など)
生産した作物を農協で買い取ってもらい、代わりに販売してもらうことで、販路の開拓を自分たちでせずに経営している、という農家も多いでしょう。
しかしながら、この関係性こそが借金地獄の入り口となり得るのです。
たとえば、他の金融機関から借入をすると、農作物の買取に影響が出ることが考えられます。
買取価格を下げられてしまったり、量を制限されてしまったり……と厳しい経営状態になることも。
つまり、農家は農協にフランチャイズ加盟しているとも言えます。
それゆえに、大元である農協から借入をして資金をまかなうのが正しいと感じ、数ある金融機関から農協を選んでしまうのです。
関係を保つために借入をしてしまう
そして、フランチャイズ関係を保つために付き合いで借りる、という暗黙のルールにより、借金をさせられてしまうケースもあります。
たとえば以下のような場合では、なかなか断れない、という農家がいます。
- 高額な農機具の買い替えを勧められる
- 新しい作物の栽培を提案される
提案を断ると今後の関係が悪化して、不利な経営状態に追い込まれるかもしれない、という恐怖心から仕方なく農協で借入をして対応してしまうのです。
農協は、農家の営農をサポートするのが本来の目的です。しかし、良好な関係性を築くために、かえって農家の首を絞めてしまうこともあると知っておきましょう。
農業で借金地獄となったその先は?

もし農業で借金地獄となってしまった場合、ほうっておくとどんなことが起こるのでしょうか。
最悪の状態になったら怖いので今の段階で知っておきたい!
滞納が続くと廃業につながる
先ほど、農家は農協と密接な関係であるとお伝えました。
つまり、ほとんどの農家が農協から借入をしていると言っても過言ではありません。
ただ困ったことに、農協での借入は、農家にとって決して優しい条件であるとは言えないのです。
低金利であっても、連帯保証人が必要であったり、土地や高額な農機具を担保に入れさせらたり、と当然ながらリスクもあります。
そのため、もし農協の借金を滞納した場合には、連帯保証人に迷惑がかかりますし、担保の農地や農機具が没収されてしまうことも。
そして、借入契約の際に、農協が抵当権を設定すると、裁判をせずに担保の資産を没収できます。
返済者が滞納した場合に、金融機関が担保を確約するための権利。
司法書士などを通して法的に手続きをする。
つまり、返済を滞納するだけで、農業に必要な土地や道具を失ってしまうのです。
農業を辞めたくないならすぐにでも行動
農業でつくった借金をそのままにしておくと、すべてを諦めるしかない環境に陥ってしまうのです。
少しでも支払いが厳しいと感じたら、すぐに手を打たないと大変なことになりますよ。
借金の滞納は、まず頼れるプロに相談することが必要です。
借金問題のプロと言えば弁護士が有名ですね。
農業で作った借金も、弁護士なら最適な方法での解決を提案してくれますよ。
まだ対策ができる段階なら、すぐにでも行動を起こすべきです。
相談が遅くなれば、解決方法もどんどん限られていきます。
深刻化して農業を辞めざるを得なくなる前に、借金問題と向き合って弁護士に相談してみましょう。
【農業で借金地獄】解決するために今すぐすべきことを解説! まとめ
農業で借金地獄になったときに今すぐすべきことを解説してきました。
農業を続けていきたいなら「任意整理」をすべき
農業をやめてもよいなら「自己破産」が良い
少しでも借金に不安があるなら早い段階で弁護士に相談するのがベスト
農業を継続するのはとても大変です。
それなのに、加えて借金もあったら……。
「もう農業をやめようかな」と感じてしまうかもしれません。
しかし、「生活が厳しくなってきそう」と感じる段階で弁護士に相談することで、離農せずとも借金地獄から開放される可能性が高まります。
まずは、勇気を出して相談をしてみてください。
農業で借金地獄になっても
弁護士に相談すれば間に合うかも!
農家が借金地獄になると、誰しもが
「もう農業を続けられない」と
挫折してしまいます。
しかし、まだ諦めるのは早いです。
任意整理で解決が可能な段階なら、
農業を諦めなくても
無理をせずに完済を目指していけます。
東京ロータス法律事務所では、
借金問題に悩む
たくさんの人を助けてきています。
たとえ農地から離れらなくても大丈夫!
電話やメールで相談も可能ですので安心ですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。