任意整理をして、仕事も変えて心機一転。
でも任意整理のことが転職先にバレてしまうのではないか、心配になりますよね!
本記事のポイントはこちらです。
任意整理が転職先にバレることは基本的にない
就職後にバレても解雇されることはない
まず、任意整理をしたことが会社(転職先)発覚することは、ほとんどありません。
とはいえ、”絶対にバレない”とも言い切れないところです。
という訳でこの記事では、「基本的には勤務先にはバレないはずの任意整理がバレてしまう事例と、発覚したときの影響について」ご紹介しますね!
任意整理が転職先にバレることはほぼない!

任意整理をすると、金融機関の信用情報に「ブラックリスト」として登録されます。
そのため「転職先にもバレるのでは?」と心配になりますよね。
心配にはなりますが、まずはご安心ください。
一部の例外を除き、任意整理をしたことは勤務先に発覚しません。
つまり、任意整理をしたこと自体が転職に影響することは、ほとんどないのです。
任意整理をしたことが、基本的には勤務先に発覚しない理由は次の通りです。
- 第三者が個人の信用情報を照会することはできない
- 任意整理は自己破産や個人再生とは違い「官報」に載らない
- 自己破産と違い任意整理による職業や資格の制限はない
第三者が個人の信用情報を照会することはできない
信用情報は重大な個人情報です。
そのため、会社が従業員の信用情報を照会することはできません。
とはいえ、もし相談者さまの希望就職先が金融機関であった場合、信用情報を照会されてしまうのではないかと不安になりますよね。
採用を判断する上で個人信用情報を照会することは禁止されていますのでご安心ください。
ただし、次の章でお伝えするように、会社から求職者に対して「自らの信用情報の提出するよう求められる」ケースもあるようです。
【自己破産や個人再生との違い】「官報」に載らない
裁判所を通す自己破産や個人再生の場合は、国が一般国民に向けて発行している機関紙である「官報」にそのことが記載されます。
「官報」には法令の公布や国の広報・公告、国会や皇室に関する事柄などが記載されます。破産や相続等の裁判内容は「公告」に記載されます。
つまり、裁判所を通さない任意整理の事実が「官報」に記載されることはない、ということです。
そのため、勤務先が「官報」を購読していたとしても、相談者さまの任意整理を知られることはないでしょう。
【自己破産との違い】任意整理による職業や資格の制限はない
自己破産をした場合、破産手続き中には、一定の職業や資格で働くことができなくなります。
破産手続き中には、弁護士・税理士などのいわゆる「士業」や、警備員・旅行業務取扱管理者などの資産や金融に関連する職業への就職が制限されます。ただしその制限も、半年ほどで解除されることが一般的です。
一方任意整理の場合は、任意整理をしたことによる職業や資格の制限はありません。
そのため、特定の業務ができないことなどで任意整理が発覚するといった心配は無用です。
また、公務員試験が受けられないといったこともありません。
このように、任意整理が勤務先に発覚することは「基本的にない」と言えるでしょう。
任意整理が転職先にバレるのはどんな時?

今までお伝えしたように、基本的に転職先に任意整理が発覚することはありません。
ところが「任意整理が発覚する・しそうになる」事態が、まれにあります。
- 金融機関に就職する場合
- 会社指定のクレジットカードを作る場合
- 第三者やSNSからの情報
ひとつずつ説明しますね。
金融機関に就職する場合
前章でもお伝えしたように、たとえ金融機関であっても求職者の情報を調べるために信用情報の照会をすることは禁じられています。
しかし、お金を取り扱う仕事である金融機関では、採用者に対して信用情報の提出を求める場合があるのです。
また、信用情報の提出を求められなかったとしても、その金融機関が持つ「金融事故者」の一覧に載っていないかを調べられてしまう場合もあります。
このような場合、特に任意整理をした金融機関への転職は難しいかもしれません。
会社指定のクレジットカードを作る場合
会社によっては、入社時に会社指定の銀行やカード会社でクレジットカードを作るよう勧められる場合があります。
会社の取引先の銀行やカード会社からのお願いといった、付き合いの意味合いが濃いものであればうまく断れるかもしれません。
しかし、経費や出張費の処理を会社指定のクレジットカードで行うために、従業員にカードを作らせる場合があります。
このケースでは、カードの作成は半ば強制ですので断ることは至難の業です。
しかしまずは落ち着いて、利用料金の支払者を確認しましょう。
社員証と一体となっているクレジットカードの場合は、個人を通さずに会社が支払いを行う場合もあります。
会社が支払いをするのであれば、カード会社の審査対象は「会社」です。
たとえ、相談者さまの名前が載ったカードであっても、その信用情報は確認されませんので、「審査に落ちる」「任意整理が発覚する」といったことはないでしょう。
もしも引き落としが相談者さまの口座からの立替払いだった場合は、残念ながら審査対象は「相談者さま」になります。
審査に落ちてしまった場合には、任意整理のことがバレてしまうかもしれません。
このような場合は、デビットカードなどで代用が可能かどうかを交渉することをおすすめしたます。
デビットカードなら、その都度口座からお金が引き落とされるので、ブラックリストに載っていたとしても作ることが可能だからです。
デビットカードについてはコチラの記事で解説しています。

クレジットカードの作成を求められた場合は、目的や支払者を確認してみてくださいね。
第三者やSNSからの情報
任意整理のことを、必要以上に誰かに話したりSNSに記載したりはしていませんか?
最近はSNS関連のトラブルも多いので、企業側も「採用を検討している人のSNSを調べる」ことが多いようです。
また、企業として調べなくとも、入社後に仲良くなった同僚とSNSでつながり、そこから会社に情報が漏れてしまう場合もあります。
もし相談者さまや相談者さまの近しい人のSNSに、相談者さまの借金問題や任意整理について書かれていて、同僚経由で会社に発覚してしまった・・・ということがないとは言い切れません。
任意整理が転職先にバレたらどうなるの?

では、もし任意整理が転職先にバレた場合、どうなるのでしょうか。
- 【入社前】採用が取り消しになる可能性がある
- 【入社後】任意整理を理由に解雇はできない
このような傾向があります。
【入社前】【入社前後】それぞれ詳しく見ていきましょう。
【入社前】採用が取り消しになる可能性がある
入社前に任意整理をしたことが発覚した場合、「その人の入社をそのまま認めるか」については会社の判断によります。
信用情報を特に必要としない業種であれば、任意整理がバレたとしても問題なく入社できることが多いです。
逆に転職先が、信用情報を重視する金融関係であった場合には、採用が取り消されてしまうかもしれません。
また、仮に信用情報を必要としない業種であっても、発覚の経路が第三者からの情報や、SNSだった場合、そのことを問題視されて、採用が取り消されてしまう場合もあります。
通常は発覚しない任意整理が発覚するわけですから、「対人トラブルを抱えた人なのではないか?」「個人情報の管理が甘いのではないか?」と、思われる可能性があるということです。
任意整理を理由に解雇はできない
相談者さまの転職先には、入社時に提出する誓約書に「借金をしていないこと」が記載されていましたか?
そうでなければ、任意整理の過去をわざわざ告げる必要はないでしょう。
もし任意整理のことを告げずに入社し、発覚したとしても、そのことを理由に解雇されるようなことはありません。
なぜなら、過去の任意整理を理由に従業員を解雇することは、法律上の「不当解雇」にあたるからです。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は。その権利を濫用したものとして、無効とする(労働契約法第16条)
具体的には、厚生労働省が示している”労働契約の終了に関するルール”に以下のように記載されています。
例えば、解雇の理由として、勤務態度に問題がある、業務命令や職務規律に違反するなど労働者側に落ち度がある場合が考えられますが、1回の失敗ですぐに解雇が認められるということはなく、労働者の落ち度の程度や行為の内容、それによって会社が被った損害の重大性、労働者が悪意や故意でやったのか、やむを得ない事情があるかなど、さまざまな事情が考慮されて、解雇が正当かどうか、最終的には裁判所において判断されます。
もちろん任意整理は、解雇の「合理的理由」にはあたりませんのでご安心ください。
ただし、任意整理したことが職場内で知れ渡ると、上司や同僚からの見る目が変わったり、お金の取り扱いから遠ざけられてしまったりすることで居心地が悪くなってしまう可能性は否定できません。
解雇にはならずとも、自主退職せざるを得ない状況になってしまうこともあるようです。
転職前にできる限り社内の雰囲気を知ることや、周囲の人にむやみやたらに任意整理に関連することを口外したり、SNSに書き込んだりして怪しまれないよう、ふるまいには気を付けましょう。
弁護士などの専門家は数多くの事例を見てきていますから、転職前によく相談することをおすすめします。
転職する際に知っておきたいこと

任意整理の前後に転職をする場合、どんなことに気を付けたらいいでしょうか。
ここでは、転職に際して知っておきたいこと、気を付けたいことをお伝えしますね。
転職のタイミングは、任意整理の前と後どっちがいい?
すでにお伝えした通り、任意整理では職業制限はありませんし、会社に勝手に信用情報を照会されることもありません。
つまり転職は、任意整理の手続きのタイミングとは関係なくおこなえます。
たとえ任意整理の手続き中の転職であったとしても、そのことを転職先に告げる必要はありませんし、知られることもまずありません。
とはいえ、任意整理は借金がなくなるわけではありません。
大事な収入源を失わないようにすることが、借金を完済する上でもっとも大切なことです。
返済計画もありますから、担当の弁護士と適切なタイミングを相談した上での転職するのがいいでしょう。
とは言え、専門家に依頼するにはお金がかかるので心配ですよね。
そんな方はこちらの記事をご覧ください。

転職による収入減には要注意
貸金業者へは、任意整理時点での収入を基準にして返済計画案を示します。
そのため、収入が増加することが確実に見込める転職であればいいですが、そうでなければ転職そのものを考え直す必要があります。
収入が減ってしまったら、せっかく任意整理をしたとしても、毎月の返済が苦しくなってしまいかねないからです。
もし返済が2回以上遅れたら、貸金業者は相談者さまに一括請求を要求できます。
残った借金の一括返済を求めらても、払う事はできず、生活は苦しくなってしまうでしょう。
さらに、もし、相談者さまが担当の弁護士に相談をせずに転職をし、返済が滞った場合、弁護士との信頼関係が崩れてしまうかもしれません。
それによって代理人を辞退されたら大変です。
必ず事前に弁護士へ転職について相談し、返済計画に無理が生じない転職をしましょう。
給料日の違いにも要注意
今の会社と転職後の会社で給料日が違う場合、特に最初の月は要注意です。
例えば今の会社の給料日が15日、転職先の給料日が25日だとしたら、転職した初月は前の会社の給料で40日間生活しなければなりません。
返済も当然その中から行われますから、苦しくなってしまうかもしれません。
また、給料日と返済日がずれてしまうことで、返済日に給料が残っていなかった!という事態が起こらないとも限りません。
そうならないためには、転職前に転職先の給料日を確認し、可能ならば貸金業者に、「返済日の変更」を、弁護士経由でお願いしてください。
貸金業者によっては応じてくれるでしょう。
給料のことについて、「転職先に自分で確認しにくい」など、不安になる場合もあるかと思います。
そのような場合は、無料の転職エージェントを利用するなど、疑問を解消できる状況で転職しましょう。
任意整理によって、家族の就職への影響はあるの?
特に親が任意整理をする場合、「子どもの就職へ影響するのではないか?」と心配になりますよね。
結論から言うと、親の任意整理が子どもの就職に影響することはありません。
なぜなら、子どもが入社する際、親の任意整理について申告する必要は、全くないからです。
仮に子どもが金融機関に就職することになり、本人の信用情報を求められた場合でも、それはあくまで子ども本人の信用情報です。
親の信用情報まで求められることはないので、ご安心くださいね。
任意整理は転職先にバレる?事例と影響を解説 まとめ
転職先に任意整理をしたことはバレるのか?バレたらどうなるのか?について解説してきました。
本記事のまとめはこちらです。
基本的には任意整理が転職先に発覚することはないが、まれに発覚してしまうこともある
任意整理を理由に解雇されることはないが、採用前の発覚では採用が見送られる可能性もある
転職のタイミングは任意整理の手続き中でも可能
転職する前に必ず弁護士に相談して、返済が滞らないようにすること
転職すると、気持ちが新たになり「また頑張ろう!」と思えます。
しかし、相談者さまの気持ちが最も晴れるのは、借金を完済したときではないでしょうか?
無理なく借金の返済を続けていけるよう、転職先の「給料」「続けやすさ」「会社の雰囲気」などを、よく調べてくださいね。
そして、任意整理中であれば、転職については必ず弁護士に相談しましょう。
「本当に転職すべきかどうか?」も含め、無理のない返済計画を一緒に立ててくれるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。