今回の、本記事のポイントはこちらです。
任意整理で和解交渉が成立した後、繰り上げ返済をするなら、メリット・デメリットをしっかり理解して返済計画を考えよう!
任意整理では、利息が免除されています。そのため、任意整理後の一括返済や繰り上げ返済に貸金業者は喜んで応じてくれる場合が多いと言えるでしょう。
という訳で今回は、任意整理で繰り上げ返済をする「メリットとデメリット」について解説していきますね!
任意整理後の繰り上げ返済には、メリットとデメリットがある

「多額の慰謝料が入った!」「両親からお金を借りることができた!」
このように、まとまった資金が手に入ることになった場合「繰り上げ返済」をして早く借金のある暮らしから逃れたいと思いますよね。
ここで言う、「繰り上げ返済」とは、毎月支払っている、決められた返済額とは別に、残っている元金に対し、まとまった額の返済をすることです。
住宅ローンやカーローンなどでは、繰り上げ返済がよく行われていますよね。
ただ、残念なことに、任意整理が終わった時点での繰り上げ返済には、大きなメリットがあまりないと言えるでしょう。
メリット・デメリットについてよく確認したうえで、今後の返済をどのようにするか判断していきましょう。
任意整理で和解した後の繰り上げ返済では、返済総額を減らせない
住宅ローンやカーローンでは繰り上げ返済をすると、返済期間が短縮された分だけ金利が減ります。そのため住宅ローンやカーローンでは繰り上げ返済することに、とてもメリットがあると言えるでしょう。
一方、任意整理では、貸金業者との間で「利息を無くし、元本を3~5年で分割払いします」と約束することが一般的です。
賃貸し業者との約束より、早く完済することはできますが、利息に影響がないため返済総額は変わりません。
そのため、債務整理が終わってからの繰り上げ返済には、あまりメリットがないのです。
【任意整理】繰り上げ返済のメリット

任意整理で繰上げ返済をすると、次のようなメリットがあります。
返済が早く終われば気持ちが楽になる
借金があると、いくら返済に無理がない状態だったとしても精神的にはとても辛いものです。
「生活をしているうえで贅沢はしてはならない!」と、友人との付き合いや食費などを我慢して、出費を抑えるようにしていませんか?
借金を返済することができれば、今まで抱えて生きた精神的な負担から解放されるでしょう。
少しでも早く借金生活から抜け出せれば、ずっと我慢してきた旅行や外食を思いっきり楽しむことができるかもしれません♪

返済額を減らせる場合がある
もうお分かりかと思いますが、任意整理を終えてから、繰り上げ返済をしても、返済総額は変わりません。
ただし、減額の交渉をすることは可能です。
貸金業者にとっても、長い時間をかけてお金を回収するメリットはないので、交渉に応じてくれる場合があります。
もしも残りの借金を一括返済できる目処が立っているならば、交渉をする価値はあります。
専門家である弁護士や司法書士は交渉のテクニックを持っています。どうしようか一人で悩んでいるのであれば、ぜひ一度相談をしてみてください。
【任意整理】繰り上げ返済のデメリット

次に任意整理後に繰上げ返済をした場合の、デメリットを見ていきましょう。
期限の利益を自ら手放すことになる
「期限の利益」とは、借金の返済期限がくるまでお金を返さなくても良いという権利です。
「一括返済すると申し出て承諾された時点で、その権利を失うことになる」と考えてください。
反対に、もしも約束した日に一括返済することができなければ、一括返済を請求する権利を貸金業者に与えてしまうことになります。
なお任意整理に合意する際に、月々の返済が二回以上遅れると「期限の利益を債務者側は失う」という取り決めをすることがほとんどですので、覚えておきましょう。
信用情報機関の事故登録(ブラックリスト)期間は変更されない
たとえ、借金の返済が完了しても、すぐにブラックリスト登録から削除されるわけではありません。
ブラックリストの登録から抹消されるまでは、任意整理をしてから概ね5年程かかります。
つまり、新規にクレジットカードを作ったり、ローン契約をしたりできるのは、その5年が過ぎてからということです。
ブラックリスト登録、すなわち事故情報が記録される信用情報機関で代表的なのがKSCやCIC・JICCです。
いずれの信用情報機関でも情報共有をしていますので、ひとつでも事故情報が残っていれば、クレジットカード一枚すら作ることができませんので注意が必要です。
この時期は、クレジットカードを新たに作ることより、まずはきちんと返済することを考えましょう。

繰り上げ返済するなら確認しておくべきチェックポイント!

特別な理由がない限り、繰り上げ返済はしない方が無難です。
一括で残りの元金を返済できるのなら、話は別ですが。
繰り上げ返済をしても、翌月の返済額は変わりません。
そして前述の通り、完済したとしてもブラックリストの登録期間が短くなることもないです。
例え、一括返済ができたとしても、日々の暮らしは続いて行くのです。
生活費が足りなくて、「またお金を借りないといけない」なんてことになったら元も子もありませんよね。
ブラックリスト入りしているためまともなところからお金を借りれずヤミ金融(闇金)に手を出してしまったら、それこそあっと今に生活が立ち行かなくなります。

お金は、突然の事故や病気、冠婚葬祭などのためにも備えておく必要があります。
早く返済を終わらせてしまいたい気持ちはわかりますが、先の生活を見据えた返済を計画していきましょう。
- 残りの返済額を、一括で支払い終わることは可能ですか?
- 支払いが終わった後の生活費は、充分に残っていますか?
一括返済する方法
まとまったお金が手に入り、一括での支払いが可能になった場合は、任意整理の際に交渉を代行した弁護士などに、まずは相談するといいでしょう。
仮に個人で直接申し出たとして、貸金業者とのやりとりに相違が生じないようにできるか心配になりますよね。貸金業者の口車に乗せられて、逆に借金が増えてしまうことにもなりかねません。
ここはできるだけプロに任せたほうが賢明です。後にややこしい問題が起こらないようしたいですね。
一括で借金を返済するときの注意点
任意整理で話が決着した後に、一括での返済を考えるなら、次の2つの点に注意しましょう。
- 他の借入先にも、平等に返済できますか?
- 一度、申請を出してしまうと、撤回できません!
他の貸金業者と平等に返済する
複数の賃金業者からの借入がある場合、A社は一括返済、B社は後で・・・など、他の貸金業者への返済が滞ってしまうということは避けなければなりません。
「債権者平等の原則」と、いうものがあります。これに従い、債権者は平等に扱われなくてはなりません。
仮に、A社に一括返済をした後で、事情が変わり自己破産や個人再生の手続きをするとなった場合、手続きの負担が重くなったり借金の減額が少なくなるなどのリスクを負うことになります。
撤回はできない
一括返済を申し出て応じられた時点で、それを撤回することはできません。
「事情が変わった!」などということは、受け入れられませんので慎重に判断するようにしましょう。
任意整理で繰り上げ返済はできる!メリットやデメリットは?まとめ
今回は、任意整理で話が終わったあとでも繰り上げ返済できるのか?ということについて、お話しました。
改めてこの記事でお伝えしたことは以下です。
任意整理で話が終わってから、繰り上げ返済をしても、メリットはあまりない
一括で支払いを終えられるなら、交渉次第で返済総額が減額できる可能性がある
一括で支払いが終わったとしても、信用機関への事故登録(ブラックリスト)に登録される期間は短縮されない
繰り上げ返済をすれば予定より早く借金生活から抜け出せて、気持ちが晴れることは間違いありません。
しかしながらメリットが少ないということは、覚えておきましょう。
一括返済で返済総額の減額交渉をすることはできますが、債務者側が不利な条件にならないよう弁護士などの専門家に依頼するのが無難です。
臨時でお金に余裕ができた場合でも、その後の生活に支障がでないよう慎重に返済計画を考えていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
任意整理が終わってからでも繰り上げ返済は可能です!

借金の返済に充てるお金に余裕ができた場合、早く返済して借金生活から抜け出したいですよね。
ただし、任意整理した後の繰り上げ返済は良いことばかりではありません。デメリットがあることもよく理解しておきましょう。
予定よりも早期に借金を返したい場合、状況を把握し的確に交渉進めてくれる弁護士さんへ相談するのが有効です!
まずは借金問題の解消や任意整理に詳しい法律事務所へ無料相談されてみてはいかがでしょうか?