コンビニ経営は失敗の恐れも多く、休みなしでもなんとか日々の運営をこなして、従業員を守っているオーナーも多いでしょう。
そこで、本記事のポイントはこちら。
コンビニ経営に失敗して借金ができたらやるべきことを解説します
コンビニ経営で悩んでいるのは相談者さまだけではありません。
経営に失敗して人生の再起を諦める前に、本記事を読んで現実的な一歩を踏み出しましょう。
コンビニ経営に失敗して借金ができたら今すぐ債務整理

コンビニ経営に失敗したと感じるときは、以下の状況が当てはまるのではないでしょうか。
- 人件費が払えない
- 本部へのフランチャイズ加盟料が高くて厳しい
- 売上が低いのに閉店が許されない
新商品やキャンペーンにお客様が喜んでくれるから、とつい無理して頑張ってしまうオーナーも多いでしょう。
しかし、コンビニ経営にはとてつもなく運営資金がかかることや違約金制度もあって、なかなかに厳しい経営状況なはずです。
初期投資や本部への送金・違約金も高額な場合が多いため、コンビニオーナーが抱える借金額は1,000万円以上となる可能性もあります。
「これ以上借金が増えたら再起が厳しい……」と感じていらっしゃるなら、法的な手続きである「債務整理」を検討しましょう。
コンビニオーナーが知るべき債務整理の方法
債務整理は、借金を減額したり、全額免除してもらったりする法的な手続きの総称です。
通常は弁護士に依頼して、必要な書類作成を代行してもらいながら手続きを進めるのが一般的。
債務整理には、以下4つの種類があります。
- 任意整理
- 過払い金請求
- 個人再生(民事再生)
- 自己破産
※過払い金調査は、ほかの債務整理を進める際に初期段階として実施されることもある。

ご自分の債務状況と照らし合わせて、もっとも効率がよいと判断された方法を利用して手続きを進めていきます。
借金がどんなに高額でも、過酷な債務状況でも、債務整理すればほとんどの問題は解消されると言われているのですよ。
また「過払い金請求」について、コンビニ経営のためにした初期の借入が2010年より前だと過払い金が発生している可能性も高いでしょう。(貸金業法が改正される前)
債務整理について詳しく解説している動画もありますので、よろしければ参考になさってください。
コンビニ本部への違約金は自己破産で免除される
コンビニオーナーが抱える借金は、個人が抱える負債とは違い、高額になるケースが多いです。
そのため、債務整理の中でも比較的状況が深刻でない場合に利用される「任意整理」「個人再生(民事再生)」では、解決が難しいことも。
- 任意整理
借金の元本が減らせないため借入が高額だと効果がうすい - 個人再生(民事再生)
元本の大幅減額が可能ではあるが、減額後もコンビニ経営しながら返済が必要
個人再生(民事再生)については、こちらの記事をご参照くださいませ。

上記2つの方法で解決が見込めない場合には「自己破産」を利用します。
自己破産は、借金の返済義務そのものをなくす手続きのため、手続きが完了すれば、その後借金を返す必要がなくなります。
ただし、大きな注意点が。
自己破産は給与や預貯金など個人資産の多くを失う
コンビニ経営で多額の借金を抱えている状態であれば、自己破産しても失う資産は多くないと予想されるため、あえてこの手続きを選択するオーナーがいます。
加えて、自己破産を選ぶとコンビニを閉店する必要がありますが、その際に支払う本部への違約金も、全額免除されるというメリットがあるのです。
違約金を払えないために、無理してコンビニ経営しているオーナーも多いでしょう。
閉店したいのに違約金のせいで踏み切れないという状態なら、一度弁護士に相談して自己破産についてたずねることをおすすめいたします。
多忙で事務所に足を運べなくても、電話やメールで相談できます。
借金解決に強い事務所なので、オーナーさまの力になってくれるはずです。

コンビニ経営でオーナーが借金を抱える理由

「コンビニ経営はブラック」という意見もよく耳にします。
もちろん稼げるビジネスとして成功しているコンビニオーナーもいるでしょう。
しかし、一方で相談者さまのように借金を抱えてしまう人もいます。
両者の違いはどこからくるのでしょう。
コンビニオーナーが借金を抱える理由として以下が挙げられます。
- 初期投資が高額だから
- 売上に関係なくフランチャイズ加盟料が必要だから
- 本部からのノルマが厳しく自己負担が発生するから
- 万引による損失があるから
初期投資が高額だから
コンビニ経営は「誰でも気軽に始められる」というものでもなく、初期投資が必要です。
本部の代わりにブランドネームを背負って経営するフランチャイズ方式のため、初期費用は高額に及びます。
初期費用の内訳(目安)
- 加盟料:200万円
- 商品の販売者資格費用:3万円
- 賃貸料:50万円
- 人件費:75万円
- 原材料:1,000万円
- ロイヤリティ:300万円(次項で解説)
ざっと見ても、始めるまでに相当な費用が必要だとわかりますね。
商品の販売者資格とは、酒類販売管理・防火管理者・食品衛生責任者などが挙げられます。
コンビニでは扱う商品が多岐にわたるため、多くの専門資格が事前に必要です。
また、出店する土地を事前に確保できているか否かによっても大きく左右されるでしょう。
以上のことから、ほとんどの方が全額を個人で用意するのは困難です。
そこで、本部が出店資金を融資してくれたり、専用のローン会社を勧めてくれたりします。
それでも借入の上限が500万円と決まっている場合もあるため、残りの費用は自分で負担しなくてはなりません。
現実には自己負担でまかなえず、複数の貸金業者からさらに借入をして、ようやく経営を始められる人もいるのです。
売上に関係なくフランチャイズ加盟料が必要だから
フランチャイズ経営といえば、ロイヤリティの高さも問題視されています。
本部との契約によってさまざまではありますが「売上金・粗利益の20〜60%を支払う」という決まりがあります。
手元に残ったお金で人件費や光熱費・廃棄処分費用をまかなわなくてはなりませんから、毎月の運営がギリギリになるオーナーが出てくるわけです。
なかには運営費用の支払いが間に合わず、ひとまず貸金業者からお金を借りて、その場しのぎのやりくりをしてしまう人もいるでしょう。
本部からのノルマが厳しく自己負担が発生するから
コンビニと言えば、最新商品が常にあり、顧客を楽しませるキャンペーン企画も豊富。
- テレビ番組や有名店とのコラボ企画
- おでんのセール
- クリスマスのフェア など
利用客からしたら毎月のように新商品と新企画があって、ワクワクしますよね。
しかし、コンビニオーナーとしては相当つらいのでは?
本部の営業担当者によっては、商品の仕入れ量を指定してきたり、「売上実績を作れ」と圧をかけたり、とノルマ設定が激しいケースもあります。
余った商品は自腹で購入してなんとか売上計上し、どうしても買取が厳しいものは、知り合いや近隣企業へオーナー自ら営業して売りさばく。
そんな状況に追い込まれている人も少なくありません。
これでは、キャンペーンで利益を出すどころか、借金を次々に増やす生活です。
万引による損失があるから
そして、24時間営業のコンビニでは、残念ながら万引によるロスも発生します。
どうしても人件費を充てられず、防犯対策が手薄になる時間帯もありますよね。
万引犯は、狙ったコンビニの運営事情をよく観察してから行動しているのです。
そのため、一度や二度ならず何度も被害にあう可能性も考えられます。
商品単体は安いものでも、何度も被害にあっていたら、ロス費用の自己負担にもいずれ限界が訪れるでしょう。
全国で起こっているコンビニの万引被害総額は、年間数十億円にもなると言われています。
また、万引で特に狙われやすい商品は「食料品・本・CD/DVD・日用品」。

引用:全国万引犯罪防止機構
コンビニ経営で人生を破綻させる怖すぎる実情

経営が苦しくなってしまう背景として、初期投資から借金ができてしまうことを挙げました。
しかし、経営の裏側にはさらにおそろしい実情があるのです。
地域集中出店による顧客の奪い合い
コンビニのフランチャイズは地域集中出店で顧客を独占する「ドミナント戦略」をよく利用しています。
ちょっと歩いただけでまた同じ名前の店舗がある。
うちの地域は〇〇のコンビニが特に多い。
そのような印象を地域住民に与えて、購買機会を独占していきます。
本部から見てもドミナント戦略はコスト削減につながり、有効な方法ではあるものの、近所のオーナー同士で顧客を奪い合わなくてはならず、厳しい戦いに発展します。
出店時は店舗数が少なく売上も上々だったのに、他店舗が周囲に増えたせいで経営が立ち行かなくなるケースもあるのです。
24時間営業を止めるには違約金が必要
コンビニは24時間営業が基本です。
近年では人材の不足などを理由に「夜間は営業しないこと」を進めている店舗も増えてきました。
深夜帯の売上と人件費などのコストを見れば、24時間営業はやめたほうが良いと考える方も多いはず。
しかし、これを阻むのが「高額な違約金」です。
大手チェーンのセブン-イレブンが、24時間営業を辞めた加盟店に対し、違約金として1,700万円の支払いを求めた事例が以前にありました。
ただでさえ借金しながらの苦しい経営なのに、1,700万円など払えるはずもないですよね。
違約金が高額という理由で、24時間営業を仕方なく続けている店舗が、非常に多いのが現状です。
さらに、従業員が不足する時間帯には、オーナーの家族が代わりに無償で働くことも珍しくありません。
そうして何か月も休みなく働いた結果、即時入院が必要なほど体を壊してしまうオーナーもいるのです。
赤字経営なのに閉店させてもらえない
コンビニでは、5年・10年といった長期間でのフランチャイズ契約をします。
契約期間中は、上記の24時間営業の件と同様に、多額の違約金制度があり、決まりに違反すると1,000万円以上の支払いが発生するケースが多数です。
そのため、オーナーの都合で閉店することは契約違反にあたり、フランチャイズ解約金と損害賠償金を本部から請求されてしまいます。
「赤字経営だけど契約違反になるから閉店できない」と苦しんでいる店舗が多いのが実情です。
これらの状況も相まって、貸金業者からの借入でなんとか営業できている店舗もありますね。
コンビニオーナーが借金を抱えた先にあるもの

コンビニ経営は借入をしてなんとか営業している店舗も多いとわかりましたね。
経営がつらいのは、相談者さまの店舗だけではありません。
しかし、このまま借金を抱え続けていると、店舗のみならず相談者さまの人生にも大きな影響を及ぼします。
多重債務で経営が困難になる
一度借金を作り返せなくなると、他のところから借入をして直近の返済へ回しはじめます。
いわゆる「多重債務」状態です。
経営当初には快く貸してくれた銀行や信用金庫も、経営の悪化でほかにも借入があるとわかれば、もう融資してくれないでしょう。
そうなるとお金を貸してくれるのは貸金業者です。
貸金業者は銀行のように高額を貸し付けてはくれませんから、少額を何度も借りてギリギリの期日で返済するサイクルに変わっていきます。
何度も借入をする=その分利息が発生する
つまり、返しても返しても利息の返済ばかりとなり、元本の返済にたどり着けなくなってしまうのです。
また貸金業者側も、いつまでも返してくれないと判断する相手には、お金を貸してくれなくなります。
そうなると、ついには闇金(ヤミ金融)に手を出すことに。
闇金まで検討する頃には、もう精神状態も穏やかではいられないでしょう。
店舗の運営よりも毎月の返済で頭がいっぱいになります。
闇金にお金を借りた場合の問題は、以下の記事で解説していますので念のため知っておきましょう。

コンビニ経営どころか人生にも絶望する
24時間体制で体力を削りながら働き続ける生活に加えて、多重債務による精神的ストレスもあると、次第に自分自身の人生にも絶望してしまいます。
中には人生そのものを投げ出してしまう人もいるほど。
「オーナー契約で安定したコンビニ経営を!」と意気込んでいたにもかかわらず、いつの間にか生きることに疲れてふさぎ込んでしまう、というオーナーも少なくないのです。
相談窓口一覧 厚生労働省:
コンビニ経営に失敗し借金があるなら弁護士への相談から始めよう

借金を抱えたコンビニオーナーがやるべきことは債務整理だと冒頭でお伝えしました。
そして、債務整理を利用する際には弁護士への相談が必須。
労働条件は行政の窓口などに助けを求めて、借金の問題は弁護士へ頼りましょう。
借金を抱えてまで、これまでコンビニを支えて奮闘してきた相談者さまには、本当に頭が上がりません。
しかし、どうかもうこれ以上苦しまないでください。
苦しんだ先に待っているのは、さらなる多重債務環境と絶望だけです。
まだ再起したい気持ちをお持ちなら、すぐにでも弁護士へ相談に行くべきです。
債務整理するかどうかはまだわからない
債務整理を検討していることを本部に知られたくない
この状態でももちろん大丈夫です。
オーナーさまお一人ずつの環境に合わせた適切な解決方法を提案してくれますよ。

【コンビニ経営失敗】借金の自転車操業で休みなしからの再起 まとめ
本記事では「コンビニ経営に失敗し借金を抱えたオーナーがすべきこと」を解説しました。
経営に失敗して借金があるコンビニオーナーは、今すぐ債務整理を検討すべき
赤字なのにコンビニ経営をやめられない背景には、多額の違約金制度がある
弁護士に依頼して自己破産すれば、違約金の支払いもなくなる
コンビニオーナーとして経営に失敗しても、人生はまだ再起できるのです。
フランチャイズ経営による多額の借入や違約金・損害賠償金は、債務整理をおこなえば必ず解決に向かいます。
自己破産を選択すれば、いったんすべてをリセットして人生をやり直すことだってできますよ。
まだ相談者さまは諦めなくても大丈夫。
債務整理に強い弁護士がきっと力になってくれます。
勇気を出して相談してみましょう。
借金の自転車操業で休みのない日々では、気力や体力、判断力も低下するもの。
債務整理の手続きをすれば、貸金業者に受任通知が送られ借金の督促が停止します。
「返済に追われる心理ストレス」がなくなるのは大きいですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。