もし滞納してしまったらどうしよう!
借金の取り立ては、具体的にはどんなことをされるのでしょうか?
また、その取り立てを無視したり放置したりしていると、どうなってしまうのでしょうか?
そこで、本記事のポイントはこちら。
- 借金を取り立てていい時間は決まっている
- 違法になる可能性がある取り立て行為の具体例
もし今借金の取り立てに悩まされていたり、借金の返済を続けるのが難しいと考えていたりするなら、この記事を読んで1日でも早く解決へ向けて歩き出しましょう。
借金の取り立て時間は決まっている

貸金業者の規制について定められた「貸金業法」では、取り立てに関してさまざまな取り決めがあります。
一例として「借金を取り立てていい時間は8時~21時の間だけ」という決まりが挙げられますね。
もしこのルールに違反した場合、以下の処罰を受ける可能性があります。
- 2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方
- 貸金業者登録の取り消しや業務停止の処分
2つめの処罰は特に重いですよね。
「取り立て行為の取り締まりはとても厳しそう」というイメージが湧いてきたのではないでしょうか。
この項目では、取り立て行為の恐ろしい部分を知っておきましょう。
家に押しかけてくることはめったにない
「借金の取り立て」と聞くと、どんなことを想像しますか?
夜の遅い時間に、近所迷惑になるほどの大声で怒鳴る……とか?
実は、家にまで来て取り立てるということは、ほぼありません。
なぜなら、ひとりひとりの家に訪問するには、膨大な時間や人件費がかかるからです。
加えて、貸金業法に触れるおそれもあるため、映画やドラマのような派手な取り立ては現実的には考えにくいでしょう。
具体的にどういう行為が違法とされるのでしょうか?
違法な取り立て行為とは?
貸金業法では、以下のような取り立て行為を禁止しています。
- 早朝や深夜など、時間外の徴収
- 申し出のあった時間帯以外での取り立て
- 自宅以外の場所での取り立て
- 「帰ってください」と言っても居座る
- 第三者に借金の事実を口外する
- 「借金をしてでも返せ」とほかの借入を強要する
- 家族や友人など、第三者を巻き込む
- 暴力的な態度を取る、おびえさせるなどの脅迫
- 弁護士や司法書士からの「受任通知」を無視する
では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
早朝や深夜など、時間外の徴収
貸金業法において、借金の取り立てをおこなっていいのは午前8時~21時の間と決められています。
それ以外の時間帯に、訪問、電話、FAXなどで取り立てることは法律違反です。
申し出のあった時間帯以外での取り立て
債務者の仕事の都合によっては、早朝や深夜なら連絡がつく場合もあります。
しかし、債務者との間で「〇時~〇時の間に連絡を取り合う」と決めたら、その時間帯以外の時間帯に取り立てるのは違反です。
また、申し出がある時間帯に債務者と連絡が取れなかった場合でも、ほかの時間帯に連絡することは禁止です。
自宅以外の場所での取り立て
債務者が勤める会社など、自宅以外の場所へ訪問や電話をかけることは認められません。
もし会社に電話をかけて取り立てをおこなったとき、その電話が会社の業務を妨害すると業務妨害罪にあたります。
※正当な理由があれば、貸金業者は債務者が勤める会社などで取り立てをしてもいいと認められる場合もあり。
「正当な理由」とは?
債務者が事前にOKを出していたり、債務者と連絡がとれずに音信不通になったりすると、それが「正当な理由」にあたる可能性がある。
ただし「正当な理由」の内容については、法律で決められているわけではない。
「帰ってください」と言っても居座る
「帰ってください」と退去を求めても、「お金を返してもらうまでここを動かない」などと言って居座るのは違反です。
警察に連絡すれば対処してもらえるので、危険を感じたときはすぐに110番に通報しましょう。
第三者に借金の事実を口外する
張り紙や立て看板などをして、借金の事実を周りの人に知らしめるような行為も禁止されています。
顧客である債務者のプライバシー情報をむやみに開示してはいけません。
※場合によっては、名誉棄損罪に問われることもあり。
「金を返せ!」などの直接的な表現でなく「連絡してください」とだけ書かれた張り紙であっても、注意が必要です。
「借金をしてでも返せ」とほかの借入を強要する
他の貸金業者や家族、友人、恋人などからお金を借りるよう言い、そのお金で借金を返済するよう取り立てるのもダメです。
いくら返済を滞納していても、他の貸金業者や身内から借りてまで返済する義務はありません。
義務のないことを強制するのは強要罪となる可能性もあります。
家族や友人など、第三者を巻き込む
借金は債務者と貸金業者の間で起きている問題です。無関係の第三者に取り立てるのは違法です。
債務者が借金を返済しないと、連帯保証人に返済義務が移行してしまうのです。
暴力的な態度を取る、おびえさせるなどの脅迫
下記のような恐喝や脅迫行為は禁止されています。
- ひどい言葉で侮辱する
- 大声で怒鳴る
- 怖い表現で脅す
- 暴行して危害を加える など
正規の貸金業者が暴力的な態度を取るようなことは考えにくいですが、ヤミ金融(闇金)の業者は違法な取り立てをおこなうことがあります。
ヤミ金融については以下の記事に詳しく載っています。
この記事を読み、正しい知識を身につけ、自分の身を守りましょう。

弁護士や司法書士からの「受任通知」を無視する
債務整理をすることが決まると、弁護士や司法書士から貸金業者に向けて「受任通知」という書類を送ります。
貸金業法にもとづき、受任通知を受け取った貸金業者は債務者への取り立てを禁止されます。
貸金業者以外からの取り立ては?
貸金業者の取り立てを取り締まる法律について解説しました。
しかし、ヤミ金融や個人同士の借金は、貸金業法は適用されないので取り締まりの対象外です。
しかし、行き過ぎた取り立て行為は他の法律違反になる可能性もあります。
法律違反になる可能性がある取り立て行為
- 自宅周辺に張り紙、立て看板など→名誉棄損罪
- 会社に取り立ての電話→営業妨害罪
- 大声で怒鳴る、脅す→名誉棄損罪、脅迫罪
- 自宅や会社に居座る→不退去罪
- 殴る、蹴る、胸ぐらをつかむなど→暴行罪
借金の取り立てで相談があれば、たとえ貸金業者以外からの取り立てであっても早めに弁護士に相談しましょう。

「借金の取り立て」って具体的には何をするの?

借金の取り立てについて、貸金業法にもとづいた違法行為を解説してきました。
では、実際の取り立てとは、具体的にどんなことをしているのでしょうか。
誰が取り立てをおこなうのか、もし取り立てを無視して借金を滞納し続けるとどうなるのか、引き続き解説していきます。
「債権回収会社」も取り立てを行う
債務者が借金を滞納するようになったら、まずは貸金業者は自分たちで取り立てをおこないます。
しかし、取り立てがうまくいかない場合には、取り立てだけを別の会社に依頼している場合があります。(債権回収会社といいます)。
大手貸金業者は債権回収会社を別で設立していることもあり、債権回収会社に取り立てだけを依頼している場合が多いです。
貸金業者の委託先一覧
貸金業者 | 委託先の会社 |
三菱UFJ銀行系 | エム・ユー・フロンティア債権回収 |
みずほ銀行系 | 日本債権回収 |
三井住友銀行系 | アビリオ債権回収 |
セディナ | セディナ債権回収 |
アコム | アイ・アール債権回収 |
アイフル | アストライ債権回収 |
プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)、レイク(新生銀行)、ジャックス、モビット、オリックスクレジット、アットローン、シティーカード | アビリオ債権回収 |
イオンクレジットサービス | エー・シー・エス債権管理回収 |
債権回収会社とよく似た名前の会社名を名乗り、架空の請求をする詐欺があります。
もし心当たりのない借金について債権回収会社から連絡がきたら、その会社名を法務省のホームページで確認してください。
正規の債権回収会社は法務省の許可を得て営業しているので、きちんとホームページに会社名が載っています。
借金の取り立て~裁判を起こされるまでの流れ
電話がかかってくる(滞納して数日~1週間)
借金を滞納して何日かすると、貸金業者や債権回収会社から電話がかかってきます。
具体的には「返済期日に入金がなかったが、いつ頃なら入金できるか」という確認をされます。
書類が届いて借金の一括返済を求められる(滞納して1週間~2カ月)
取り立ての電話を無視したり放置したりしていると、はがきや書類が届きます。
まずは、督促状としてはがきや手紙で「指定した日までに今月分の返済額を入金してください」と言われます。
次に、催告書(さいこくしょ)という書類が内容証明郵便で届きます。
催告書は督促状よりも強い力を持ち、内容は「このまま滞納を続けるなら裁判を起こす」という厳しいものです。
その特殊な性質から、裁判所による法的措置の一歩手前というケースが多いです。
裁判を起こされる(滞納して3カ月~)
督促状や催告書による一括返済を無視したり放置したりしていると、とうとう裁判を起こされてしまいます。
具体的には、貸金請求訴訟(1)を起こされたり、支払督促(2)という処分を命じられたりします。
(1)貸金請求の訴訟を起こされる
- 裁判所の力を借り、貸金業者が債務者に借金の返済を求める
- 「こういう裁判を起こされていますよ」というお知らせが届く
- 答弁書に自分の主張や意見を書き、提出する
(2)支払督促
- 裁判所の力を借り、貸金業者が債務者に借金の返済を求める
- 自分の主張や意見があれば、2週間以内に書類を提出する
- 裁判所に対し、貸金業者が「債務者を強制執行処分にしてください」とお願いする
- 債務者に「このまま借金の返済をしなかったら強制執行を受けますよ」と知らせる
- 2週間以内に異議申し立てをしなかったら、強制執行を受ける
強制執行を受ける
強制執行とは、いわゆる差し押さえのことです。
自宅や車を没収されたり、預貯金、不動産、給料などを差し押さえられたりします。
したがって、会社には借金の事実がバレてしまうでしょう。
違法な取り立てをされたらどうする?

もし、貸金業法や、それ以外の法律に違反するような取り立てをされたら、誰に相談したらいいのでしょうか。
対処の仕方も含め、説明していきます。
警察に相談する
特に借金をした相手がヤミ金融だった場合、法律に違反する行為で取り立てをされることがあります。
個人同士の借金でも法律違反の取り立て行為がされる場合もあるので、少しでも危害を加えられたらすぐに相談しましょう。
証拠があれば、警察はすぐに対処してくれます。
証拠の保存方法としては、以下のようなものがあります。
- 会話を録音する
- 債権者の名前、住所、電話番号などを書き留める
- 設置された張り紙や立て看板などをとっておく
- これまでに受けた取り立て行為や嫌がらせなどを日記に書いておく
公的機関に相談する
借金に関するさまざまな問題の相談に乗ってくれる公的な機関もあります。
ぜひ参考にしてみてください。
土曜、日曜、祝日でも受け付けてくれるので、平日は仕事で忙しい方でも利用できます。
借金問題を含むさまざまな法的トラブルについて、無料で相談に乗ってくれます。
弁護士費用の立て替えもしてくれるので、必要な場合は相談してみましょう。
上記以外にもたくさんの相談窓口があります。
もっと詳しく知りたい方は、金融庁のホームページを参照してください。
弁護士に相談する
弁護士に「債務整理をしたい」と相談すれば、取り立てのことだけでなく、借金問題の解決を目指せます。

また、債務整理を依頼すると、弁護士や司法書士は「受任通知」という書類を相手に送ります。
これが届くと、今後一切の取り立てが禁止されるため、憂うつな取り立てからはすぐに解放されます。
これまで解説してきたように、借金を滞納し続けると、最終的には裁判を起こされてしまいます。
そうなると、会社だけでなく家族からの信頼も失い、今まで通りの生活を送ることは難しくなるでしょう。
「借金の返済も厳しいのに弁護士費用なんて払えない」と思っている方でも、弁護士費用は分割払いができるところもあるので安心してください。
借金のことで困ったことがあれば、早めの相談をおすすめします。

借金の取り立て時間は決まっている!?違法な取り立て行為とは? まとめ
この記事では、借金の取り立て時間と違法行為、取り立ての対処法について解説しました。
借金の取り立ては、取り立てをしていい時間や場所など、法律で細かく定められている
借金を滞納し続けていると、最終的には裁判を起こされ、差し押さえを受ける
違法な取り立てをされたら、その証拠を手元に残し、警察に相談する
借金の返済を続けるのが難しいと感じたら、手遅れになる前に弁護士に相談すべき
「いきなり法律事務所に相談なんて……」と身構えてしまう方には、無料でできる減額診断をおすすめします。
匿名ででき、質問もたった4つ、しかも専門家による診断で、あなたにぴったりの解決方法を調べることができます。
借金問題は放置すればするほど解決が難しくなっていくので、1日でも早く解決への第一歩を踏み出しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。