ほかにも、逆の状況で連帯保証人が個人再生(民事再生)をしてしまった場合にはどうなるのかも気になりますよね?
そこで本記事のポイントはこちら!
個人再生(民事再生)手続きの際、住宅ローンで連帯保証人がいる場合でもマイホームは残せます。
では、個人再生(民事再生)と連帯保証人ありの住宅ローンの関係について、詳しく見ていきましょう。
個人再生で住宅ローンの連帯保証人ありだとマイホームはどうなる?

個人再生(民事再生)で住宅ローンの連帯保証人ありでも、マイホームは残せます!
そして、個人再生(民事再生)手続きでは、任意整理や自己破産にはない特則があるんです。
それは「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」
住宅ローンの返済は通常通り行い、住宅を処分されないようにする制度。
また、住宅ローン以外の借金については、減額や分割支払いができる制度。
この制度を利用すると、返済者は住宅を失わずに8割も借金の減額が可能になります。
任意整理や自己破産では住宅を失うこともありますので、個人再生(民事再生)ならではの長所ですね。
住宅ローン特則の利用条件
- 住宅は債務者名義であるor債務者が保有する建物
- 居住用の物件である
- 床全体の50%以上が居住用として使用されている
- 住宅ローンの借入れがある
- 抵当権のついた有担保ローンである
- 住宅ローン以外には有担保が設定されていない
連帯保証人に個人再生がバレることはある?
やはり連帯保証人がいると
「迷惑をかけそうで不安」
「個人再生が連帯保証人にバレないか」
とお悩みになる方も多いでしょう。
民事再生法ではこのように記載があります。
再生債務者が連帯債務者の一人であるときは、住宅資金特別条項による期限の猶予は、他の連帯債務者に対しても効力を有する。
引用:民事再生法203条(住宅資金特別条項を定めた再生計画の効力等)
つまり、住宅ローン特則の利用で制定された期限や方法については、連帯保証人にも有効ということです。
そのため、個人再生(民事再生)手続き者が支払いを滞納しないうちは、連帯保証人に支払いを求めることはありません。
さらに、個人再生(民事再生)手続きが連帯保証人に伝わることも少ないでしょう。
個人再生(民事再生)手続きは裁判所を通して行いますが、通知が連帯保証人がいくことはないですし、借入先の金融機関でも、支払いを滞納をしない限りは、連帯保証人に連絡することもないです。
個人再生(民事再生)で家族の財産がどうなるのかは、こちらの記事で解説しています。

個人再生を住宅ローンの連帯保証人が手続きする場合

再生計画に保証債務を入れる
個人再生(民事再生)手続きでは、手続き者の住宅ローン(支払い中)を再生計画から除外することが可能です。
しかし、住宅ローンの連帯保証人が個人再生(民事再生)をすると、この住宅ローンも「保証債務」になり、再生計画から除外できなくなるのです。
ローン返済者の返済が不可能な状況のときに、連帯保証人が払うべき借金。
返済者本人がきちんと返済を行っていれば、連帯保証人が支払う必要は当然ありませんが、保証債務については、連帯保証人が保有する借金となり、再生計画にも含まれてしまいます。
最低弁済額の上昇
保証債務が含まれてしまうと「最低弁済額」が上昇してしまうのです。
最低弁済額については、以下の表でわかるように「最低限度の支払う必要がある金額」を指し、借金の総額によって変動します。
借金総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 全額 |
100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1,500万円未満 | 80% |
1,500万円以上3,000万円未満 | 300万円 |
3,000万円以上5,000万円未満 | 90% |
連帯保証人が持つ借金総額が450万円だった場合、返済額は100万円です。
しかし、連帯保証人になっている住宅ローン残高が1,800万円だった場合には、借金総額2,250万円になり、弁済額は300万円に増えてしまうのです。
通常なら借金を100万円に減額が可能であったにもかかわらず、住宅ローンの保証人となっているせいで、実質300万円までしか減額されません。
保証債務の支払い義務は本当にある?
保証債務が再生計画に含まれるとお伝えしましたが、これは本当に支払う義務があるのか疑問だと思います。
債務者本人が支払いを順調に行っている際は、弁済を保留状態にしてもらえます。
そのため、債務者本人とともに住宅ローンの支払いをしていかなくても大丈夫です。
別口の口座を用意して、この弁済分を積み立てていくのが通常の流れと言えるでしょう。
実際に支払いの請求がまだない保証債務でも、再生計画に入れて減額を行うことで、債務者本人が返済が不可能な状態となったときに負担を減らす効果があります。
住宅ローンの返済人は一括返済が必要になることも
住宅ローンで連帯保証人になっている人が個人再生(民事再生)手続きをすることで、メインの債務者には影響があります。
資産差し押さえなどの処置までには至りませんが、連帯保証人の個人再生(民事再生)の事実ができた時点で、保証人としての資格を失い、改めて別の保証人を用意することを申し立てられるでしょう。
新たな連帯保証人を立てられなかったときには、一括返済を求められることもあります。
しかし、実際に一括返済に対応できる人は少ないので、債務者は返済を続けながら、同時に連帯保証人を探す生活となる場合が多いと言えますね。
連帯保証人の条件や詳細については、対象の住宅ローン契約に細かく記載がされているはずですが、連帯保証人が個人再生(民事再生)などをしていて、対応が困難になりそうなときには、法律のプロである弁護士へ相談してみるのが良いです!
住宅ローン特則を利用したいときの注意ポイント

住宅ローンと連帯保証人の関係について、詳しく解説してきました。
この項目では、住宅ローン特則を実際に利用するときに注意しておくべきポイントを紹介しますね。
保証会社による代位弁済
もし、住宅ローンの支払いを長期延滞してしまい、保証会社が代位弁済を行っているときには気をつけましょう。
住宅ローンなどのローンの支払いが滞った際に、債務者に代わり、保証会社が金融機関へ一括返済を行うこと。
代位弁済が実行されると、債務者は保証会社が支払った残りの返済残高を一括返済する必要があります。
しかし、一括返済できる債務者はほぼいないため、このタイミングでマイホームを失うことになることが多いのです。
ですが、ここで住宅ローン特則を利用できると、代位弁済は無効となるのです。
代位弁済がなかったことになれば、保証会社への一括返済義務もなくなり、従来どおりに借入先に返済を行うだけでよくなります。
これは「住宅ローンの巻き戻し」と言われています。
この巻き戻しには期限もあり、保証会社が代位弁済を行ってから6カ月以内に、住宅ローン特則を利用し、個人再生(民事再生)手続きを行わなくてはいけません。
万が一、期限を過ぎてしまったら、マイホームを失うこともほぼ確定しますので、代位弁済が行われてしまっている場合には、一刻も早く弁護士に相談し、手続きを行いましょう!
住宅ローン残高がのこりわずか
個人再生(民事再生)では、もともと債務者が保有する資産価値によって、減額効果は弱まります。
これは「清算価値保障の原則」(個人再生における)とされており、債務者は貸金業者などすべての債権者に対して、自己破産手続きで得られる金額よりも多くの額を返済する必要があるのです。
どういうことかと言うと、住宅ローンの残高が住宅査定額よりも少ないときには、住宅そのものも資産として見なされます。
つまり、資産価値に基づき減額効果は弱まるため、個人再生(民事再生)手続きで得られる減額効果はあまり感じられないかもしれません。
税金の支払い滞納
税金の支払いを滞納することにより、マイホームを差し押さえられている場合、住宅ローン特則は利用できません。
利用するためには、まず滞納した税金を支払う必要がありますが、この時点で全額を支払う能力のある方はほぼいないでしょう。
そのため、弁護士に相談・協力してもらい、滞納分の税金支払をきちんと債権者側に説明し、債権者に同意を仰ぐ依頼をします。
個人再生から自己破産になると連帯保証人は大変

個人再生(民事再生)手続きでは、住宅ローンの連帯保証人になにか迷惑をかけることはないとわかりましたよね。
それでも、個人再生(民事再生)の手続きが不可能なほど、借金総額が増えてしまうと、残る債務整理方法は「自己破産」のみです。
自己破産となってしまうと、さすがに連帯保証人にも大きな影響が及ぶでしょう。
住宅ローンでメインの返済をする人が自己破産した場合、返済先の金融機関はローン残高を連帯保証人へ一括請求します。
連帯保証人にも返済能力がないときには、保証人も同様に資産を差し押さえられてしまうのです。つまり、連帯保証人に持ち家があると、こちらも競売に出されてしまうかもしれません。
こうなると、メインの債務者だけでなく、連帯保証人も自己破産手続きを余儀なくされてしまう可能性も十分あります。
ローン契約では、債務者のことを大丈夫だろうと信じて連帯保証人についてくれるケースが多いと思いますので、実際に保証人に支払い請求がいってしまったときには、お互いとても複雑な心境になることが必至です。
「連帯保証人には迷惑をかけるわけにはいかない!」
「自己破産だけはなんとしても選びたくない!」
こんな風に感じるのであれば、早急に頼れる弁護士に相談をし、自力で完済できるように協力してもらいましょう。
手を打つのが遅れれば遅れるほど、ご自分のマイホームを失うだけでなく、連帯保証人の人生も狂わせてしまう事態になることもよく考えておくのが重要です!
個人再生手続きは入札期日前までに
もし、メイン債務者の住宅が競売に出されたとしても、まだ諦める段階ではありません。
個人再生(民事再生)手続きをすれば、競売も止めることが可能です!
住宅ローン特則を使った個人再生(民事再生)が裁判所から認可されれば、競売は完全に中断となり、住宅も取り戻すことができますよ。
しかしながら、競売の入札期限が過ぎてしまった場合には、さすがの裁判所も中止指示は出せません。こうなると、住宅も諦めるしかなくなります。
そのため、入札期日よりも前に手続きをして、最悪の事態を避けましょう!

【個人再生】住宅ローンで連帯保証人ありだとマイホームはどうなる? まとめ
本記事では、個人再生(民事再生)手続きにおける住宅ローンと連帯保証人の関係について解説してきました!
個人再生(民事再生)では住宅ローンに連帯保証人「あり」でもマイホームは残せる
個人再生(民事再生)手続きを連帯保証人にバレることは少ない
連帯保証人が個人再生(民事再生)を行うと、メイン債務者にも影響する
また、記事中で紹介した住宅ローン特則は、住宅ローンそのものを減額できるわけではなく、あくまでも連帯保証人へ迷惑をかけずマイホームを守るために利用します。
万が一、マイホームが競売にかけられても、取り戻すことは可能です。
マイホームを手放したくないなら
個人再生(民事再生)手続きを

マイホームを諦めずに、返済問題を解決したいのであれば個人再生(民事再生)が良いでしょう。
しかし、個人再生(民事再生)手続きは裁判所を通しますので、その工程は複雑で時間も大変要します。
効率よく短期で手続きを進めたいのであれば、弁護士に相談するのが最も早いです!
お一人でいつまでも悩んでいるなら、まずは無料相談して、ベストな対策を話し合う方が良いです。きっと最適な方法を提案してくれます!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。