もし借金を作ってしまったり、その借金が多額になってしまったらどうしよう・・・。
ギャンブルにお金を賭けることは違法ですが、作ってしまった借金はどうしたら良いのでしょうか?
また、もしすでに支払ってしまった場合、そのお金を取り戻すことはできるのでしょうか?
そこで、本記事のポイントはこちらです!
-
賭け麻雀の対戦相手への借金を支払う義務はない
- 支払ったお金を取り戻すことはできない
法的根拠を示しながら詳しく解説していきますね。
麻雀での借金に返済義務はあるの?

結論から言うと、賭け麻雀の対戦相手への借金を支払う義務はありません。
お金を賭けたギャンブルは違法
そもそも、ギャンブルでお金を賭けることは法律で禁止されています。
刑法第185条(賭博罪)
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
※「一時の娯楽に供する物」・・・お菓子、ジュースなど
ただし、競馬・競輪・競艇・オートレースは公営競技と呼ばれ、これらはギャンブルとして法律で認められています。
三店方式(3つの店を経由して出玉→特殊景品→現金と交換していく方法)という営業形態により、違法性はないとされています。
違法のギャンブルでできた借金はどうなる?
冒頭でお伝えした通り、お金を賭けた違法な麻雀で作った借金に、返済する義務はありません。
その法的根拠は、民法第90条公序良俗「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」という一文です。
お金を賭けた違法のギャンブルは公序良俗に反します。
なぜなら「他人よりも幸運に恵まれたい」気持ちが強くなり一生懸命働かなくなってしまうことで、社会経済にも悪影響を及ぼすからです。
したがって、違法のギャンブルでできた借金を返済しなければならないという法的根拠は「無効」です。
すでに支払ったお金はどうなる?
賭け麻雀の対戦相手への借金に支払い義務はないと言いました。
ならば、すでに支払ってしまったお金に関してはどうなるのでしょうか?
これについては、法律では取り戻せません。
民法第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
今回の「お金を賭けた違法な麻雀で借金を作ってしまった」という設定で、具体的に見ていきましょう。
この場合、
「不法な原因」・・・違法な麻雀
「給付」・・・借金に支払ったお金
ということです。
確かに、違法のギャンブルで負け、その負けた相手に対して作ってしまった借金に返済義務はありません。
しかし、負けた相手に一度支払ってしまったものを取り戻そうとしても、残念ながらそれを後押しする法的根拠はないということです。
麻雀で借金がふくらむ理由とは?

麻雀、パチンコなどのギャンブルは、一度のめり込むと抜け出せなくなってしまう人が多いのも事実です。
なぜそこまで夢中になり、多額の借金を抱えるまでになってしまうのでしょうか。
ここでは、考えられる原因について詳しく解説していきます。
ギャンブル依存症
まず1つ目のは「ギャンブル依存症」です。
アルコール、薬物、ギャンブル、インターネットゲームなど、特定の物質使用や行為をくり返すことで、それが身体的、精神的になくてはならない状態になり、自分ではコントロールができなくなっている状態。
ギャンブル依存症は、気質的要因、遺伝的要因、脳の器質的要因、心理的要因、環境的要因など、さまざまな要因によって起こります。
代表的な症状は「ギャンブルを最優先してしまい、自分だけでなく家族や友人を傷つけてしまう」ということです。
ひどくなると、借金をしてでもギャンブルをしたい気持ちが抑えられません。
雀荘の「アウト」制度
次に、雀荘の「アウト」という制度も借金を膨らませる原因になりえます。
雀荘の中には、手持ちのお金がなくなってしまった客に対して、店側がお金を貸しているところがあります。
1人(フリー)で麻雀をしにきた人は、その場ですぐにお金を借りられる友人などがいません。
そのため「次に来た時に返す」と約束し、店側から一時的にお金を借りられるのです。
そのお金のことを「アウト」と言います。
最初のアウトが少額でも、それを何度も繰り返していくうちに、気づけば多額の借金になってしまうことも珍しくありません。
闇金業者からお金を借りてしまう
最後に、恐ろしいのが闇金業者からの借金。
雀荘の経営者や常連客として闇金業者が出入りしていることがあります。
「お金が必要な時はいつでも声をかけてくださいね」などと親切そうに言い、実際は違法な金利で貸し付けてきます。
その法外な金利が膨らみ、多額の借金になってしまうケースもあるので気を付けましょう。

麻雀による借金問題はどうしたらいいの?

麻雀での借金には、対戦相手に支払うお金と、そのお金を支払うために貸金業者から借りたお金の2つがあります。
この2つでは脱出ルートが異なるのがポイントです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
対戦相手に支払うお金
先述した通り、違法のギャンブルでできた借金に返済義務はありません。
ですので、「違法のギャンブルでできた借金は無効である」と主張しても問題はないわけです。
ここでもし相手が「借金を返さないなら訴える」と言ったとしても、そもそも違法ですから、裁判所も「その借金は無効です」と言うでしょう。
ただし、違法のギャンブルで勝った人に「その借金は無効なので返済しない」と主張したとします。
でも果たして、その主張は通るでしょうか?
「分かりました、じゃあ返さなくても良いです」と言ってくれると思いますか?
相手が友人や同僚なら、今後の人間関係に響く程度で終えられるかもしれません。
しかし、自分も違法のギャンブルをしている場合、相応のリスクがあることも理解しておきましょう。
もし身の危険を感じるようであれば、早めに警察や弁護士に相談しましょう。
貸金業者から借りたお金
麻雀で負けたお金を支払うために貸金業者から借りたお金に関しては、返済義務があります。
貸金業者は法的な手続きを経てお金を貸しているだけなので、貸したお金の使い道は把握しません。
仮に賭け麻雀でできた借金の補填に使ったとしても、それは貸金業者には関係のないことです。
もし貸金業者への返済が難しくなった場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
なぜなら、賭け麻雀が原因の借金は債務整理に影響する可能性があるからです。
麻雀の借金返済と債務整理
任意整理・個人再生(民事再生):
借金の原因に言及されることはないので、まずはこの2つの利用を考えてみましょう。

自己破産:
自己破産には「免責不許可事由」という、「こういう理由なら自己破産はできません」というルールがあります。
そのうちの1つにギャンブルがあるため、原因が麻雀である場合は免責されない可能性があります。
破産法第252条(免責許可の決定の要件等)
浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
全て包み隠さず弁護士に相談しましょう。

賭け麻雀で作った借金を滞納すると大変なことに!

賭け麻雀の対戦相手への借金を支払うため、貸金業者からお金を借り入れた場合、滞納してしまうと大変です。
すでに述べた通り、ギャンブルで作った借金は自己破産さえできない可能性があるからです。
これもすでに述べた通り、借金の原因がギャンブルであっても、貸金業者に対する返済義務はあります。
その返済が滞ってしまうと、その借金額はますます膨れ上がってしまうのです。
借金を滞納すると、「遅延損害金」が発生します。
「遅延損害金」とは借金の滞納に対する罰金のようなものです。
民法第420条(賠償額の予定)
1.当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2.賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3.違約金は、賠償額の予定と推定する。
借金の残高×遅延損害利率×遅延日数÷365日
また、遅延損害利率についても法律で定められています。
民法改正後(2020年4月1日)の遅延損害金の利率について
法定利率は年3%
(変動制を導入したので3年ごとに見直しが行われる)
ただし、民法第419条により、約定利率(契約書に書かれている利率)が定められている場合はそちらが優先される。
遅延損害金は罰金のようなものなので、上限ギリギリの20%に設定しているところが多いです。
100万円×20%×10日÷365日=5,479円
たった10日でかなり借金が増えてしまうことになります。
借金を滞納すると、遅延損害金は日々増え続けます。
さらに、給料や財産の差し押さえ、ブラックリスト状態、場合によっては一括での返済を求められることがあります。
滞納してしまった場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
賭け麻雀で借金ができたら返済義務はある?もし支払ってしまったら? まとめ
本記事では、お金を賭けた違法な麻雀でできた借金について解説しました。
違法のギャンブルでできた借金に返済義務はない
支払ってしまったお金は取り戻せない
借金を返すために貸金業者から借りたお金は返済しなければならない
借金を滞納すると、高利率の遅延損害金が発生する
借金が多額の場合、デメリットは多いですが自己破産であれば全額免除になります。
しかし、自己破産には免責不許可事由が設けられているため、多額の借金を抱えているにも関わらず、自己破産が認められないこともあります。
支払いを続けていくことが厳しいのであれば、すぐに弁護士に相談しましょう。
債務整理についての実績が多い弁護士なら、借金問題を任せても安心です。
まずは無料相談から始めてみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。