ある日突然『財産を差押えますよ』という差押予告書が届いたら、驚きますよね。
しかし残念ながら、払うべき税金を支払わないまま放置していると、財産は差押さえられてしまうのです。
そこでこの記事のポイントはこちら。
差押予告書が届いたら、一刻も早く役所に相談すべき!
税金の滞納は、きちんと対処法があります!
差押予告書が届き焦っている相談者さま、税金を滞納している相談者さま、必読です!
差押予告書が届いたらすぐに役所へ行こう

税金を滞納し、連絡を無視し続けていると『差押予告書』なる文書が届きます。
差押予告書とは「このまま税金を滞納し続けると財産を差押えるよ」という通知です。
この差押予告書を放置していると財産が本当に差押えられてしまいますので、早急な対応が必要です。
もしも差押予告書が届いたらすぐに差出人である公的機関に連絡し、納税の相談をしましょう。
- 国税(所得税、消費税など)→税務署
- 地方税(市県民税、固定資産税、自動車税など)→市区町村役所
- 年金保険料→日本年金機構
- 労働保険料→都道府県労働局
役所にはこまめな相談が有効
まずは、ご安心ください。
役所は相談者さまの味方ですよ。
ただし、役所に味方になってもらうには「相談にのってください」と自分から訴えなければならないのが現状です。
だからこそ税金の支払いに困ったら、まずはすぐに役所に相談しましょう。
税金の支払いには猶予(ゆうよ)制度があり、一定の条件を満たしていると認められれば次のような対応を受けられます。
- 税金の支払いが猶予される
- 税金の支払いを分割できる
ひとつずつ説明しますね。
税金の支払いが猶予される
以下のような事情があって一時的に税金を納められない場合、徴収の猶予という制度を利用できます。
- 地震、台風や火災などの災害や盗難にあった
- 本人または同一生計内の親族が負傷したり病気になった
- 事業を廃止、または休止した
- 事業において大きな損失があった
- 本来の納期限から1年経ってから課税された
申請は、納付期限前と後のどちらでも可能です。
徴収の猶予が認められれば1年間税金の徴収が猶予され、督促や差押さえなどが行われることはありません。
さらに、この期間中の延滞税は全額または一部が免除されます。
税金の支払いを分割できる
今まさに差押さえを受けている・受けそうな場合にも、換価(かんか)の猶予という制度があります。
税金を分割納付することで、原則として1年間財産の売却が猶予される制度です。
換価の猶予は、次の要件を満たしていれば受けられる可能性があります。
- 税金の納付により事業の継続や生活の維持が難しくなる
- 納税するという誠実な意思がある
- 他に滞納している税金がない
- 猶予を受けたい税金の納付期限から6カ月以内に申請している
- (金額が50~100万円を超える場合)担保がある
差押予告書が届いてからでも、相談は間に合います。
放置したり、他から借金してしまう前にとにかく役所に相談しましょう。
税金を滞納すると延滞税が加算される
税金の滞納による差押予告書が届くまでには、文書や電話による督促があったはず。
税金には納付期限があるので、1日でも過ぎると延滞税が加算されます。
延滞税の利率は次の通りです。
- 納付期限から2カ月以内:最大年7.3%
- 納付期限から2カ月以上:最大年14.6%
*延滞税特例基準割合との比較でもう少し低くなる場合がある
役所を装った詐欺には注意
税金を滞納している人に対する役所からの連絡には、手紙や電話だけでなく、電話番号を利用したメッセージ(SMS)が使われる場合があります。
しかし、納税の案内そのものがSMSで届くことはありません。
督促状や差押予告書が届いていないのに「滞納しているので〇〇円振り込んでください」というSMSが届いたら、それは詐欺である可能性が高いので気を付けてくださいね。
差押予告書に対応しないとこうなります

上でも述べた通り、役所に相談に行かずに差押予告書を放置すると、財産を差押えられてしまいます。
次のような財産が差押えの対象です。
- 動産(預貯金、給与、生命保険料など)
- 不動産(土地、家屋、自動車、身の回りの品)
残念ながら、税金とはいえ滞納には厳しいのです。
税金の滞納から財産の差押さえまでの流れ
この項目では、税金の滞納から差押さえにいたるまでをご説明しますね。
税金の納付期限が過ぎる
税金の支払い期限が過ぎると滞納となりますが、すぐに督促が来るわけではありません。
役所は20日間ほどは待ってくれるので、なるべくそれまでに納付するか窓口に相談に行きましょう。
督促状による督促
自治体により多少タイミングは異なりますが、一般に納付期限から20日が過ぎると督促状が送付されるでしょう。
この時、督促状送付の手数料まで加算されます。
文書や電話による強い督促(催告)
さらに督促状を放置していると、催告を受けます。
督促状が「早く納付してね」という程度の督促なのに対し、催告は「早く納付しないと裁判を起こしますよ」という強い督促です。
催告書は「いつ・誰が・誰に・どんな内容の手紙を送ったか」を公的に証明できる「内容証明」という郵便で送られてきます。
内容証明は手渡しで配達され、受領のサインをしなければなりません。
つまり、催告書は「届いていない」という言い訳が通用しないのです。
電話やSMSを利用した催告は、役所から委託された業者からの連絡の場合もあります。
財産を調べられる
催告を受けてもなお相談もなく滞納を続けた場合は、相談者さまの財産を調べられてしまいます。
差押さえの準備に入るということです。
そうなんです。国税徴収法という法律があり、財産調査に滞納者の同意は不要です。
財産調査には、身辺調査(勤務先や家族構成など)と財産調査(給料や生命保険など)があります。
財産の差押さえ
『税金の滞納くらいで』と放置を続けていると、本当に財産を差押さえられる事態に。
家や車が差押さえになったら当然家族にもバレますし、給与が差押さえられたら勤務先にも知られてしまいます。
差押さえられた財産は納税へあてられる
財産を差押えられた時点で、すぐに税金を納付できれば差押さえは止まります。
給与の差押さえは『毎月定額が引き落とされる』、不動産の場合は『売却』して滞納した分の税金にあてられる仕組みです。
時効はないものと思え
納税にも時効はあります。
種類や条件でやや異なりますが、5~7年です。
しかし残念ながら、督促状が届くたびに時効のカウントはリセットされますので、時効の成立はほぼ不可能です。
なぜなら納税の場合、逃げなければならない相手は公的機関であり、住所や保険・年金など相談者さまが生きていくすべての事柄と結びついています。
つまり、まともな生活を捨てる以外に逃げようがないのです。
例えば住民税を支払わずに引っ越したとしても、引っ越した先に督促状は届き、時効のカウントはリセットされる上に、延滞税まで課税されてしまいます。
税金の納付義務からは逃れられないのです。
最悪の事態を回避するために大切なのは、一にも二にも『相談』です!
行政には自分から声をあげないと助けてもらえませんが、逆に声をあげれば助けてもらえるということを忘れないでくださいね。
差押予告書がきた!役所以外に相談できる場所はある

役所にどう話を切り出したらいいか、相談にのってくれる場所もありますよ!
そこで相談してみてから、勇気を出して役所へ行くのはどうでしょうか?
滞納相談センター
『「税」いのちのホットライン』と銘打った、滞納相談センターという組織があります。
有志で80人もの税理士・弁護士が集まり、滞納で困っている方の相談にボランティアで応じているのです。
本人からの相談だけでなく、家族や友人からの相談でも受け付けてくれるのが嬉しいですね!
<滞納相談センター連絡先>
TEL: 03-6268-8091 (北海道エリアのみ 090-7651-0283)
相談時間:月~金 午前10時~午後4時(12~13時は昼休み)
税金、国保料 滞納・差押ホットライン
こちらは不定期の開催ですが、社会保障推進協議会や弁護士による無料電話相談が開設されることがあります。
電話番号はフリーダイヤルなので、通話料がかかりません。
税金の督促が増える12月や1月頃に開設されやすいので、お困りの場合はぜひ調べてみてくださいね。
ライフサポートセンター
ライフサポートセンターは、日常生活で起こるさまざまな悩みや問題について相談にのってくれます。
無料の電話相談で、内容によっては有料の専門家を紹介してくれます。
滞納についても相談にのってくれるので、一度心の内を話してみてはいかがでしょうか?
ライフサポートセンターは全国にありますので、お住まいの地域から近いところを探してくださいね。
差押予告書がきても税金が支払えないときはどうする?

いくら納税したくとも、ない袖は振れませんよね。
ここでは納税できない場合の2つの方法をご紹介しますね。
1. 生活保護を受給する
生活保護を受けると、滞納中の税金の督促も止まりますよ。
滞納した税金の支払い義務がなくなるわけではありませんが、督促がなくなるので一定期間を過ぎれば時効が成立します。
また、生活保護を受給したのちは、納税の必要はありません。
もし相談者さまに財産も収入もないならば、生活保護を考えて役所に相談に行くことをおすすめします。
ただし、生活保護費は原則として借金の返済にあてることはできませんので、借金がある場合はそれも包み隠さずに相談しましょう。
借金と生活保護については、こちらの記事にまとめてあります。

2. 債務整理をする
もし相談者さまに税金の滞納以外にも借金があるなら、合法的に借金を減額できる債務整理を強くおすすめします。
債務整理は「任意整理」「過払い金請求」「個人再生(民事再生)」「自己破産」の4つの手続きがあり、借金の減額幅はそれぞれです。

専門家に相談すると、相談者さまに合った方法が見つかりますよ!
借金の減額交渉については、こちらの記事をご覧ください。

税金は債務整理の対象には含まれないので、債務整理をしたところで税金の支払い義務がなくなるわけではありません。
しかし、借金が減ればその分返済の負担が軽くなるので、税金を支払う余裕ができるかもしれません。
債務整理の手続きを始めたことは、役所にもすぐに伝えましょう。
税金を支払える可能性が上がりますから、差し押さえだって免れられるかもしれません。
役所が分割払いに応じてくれる可能性も高くなりますよ。
債務整理は専門家を頼ろう

債務整理は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しましょう。
ただでさえ借金があるのに弁護士費用まで払えない……と二の足を踏んでしまいますよね。
しかし、専門家にお願いするからこそできることがたくさんあるのです。
借金の取り立てが止まる
弁護士に債務整理を依頼をすると、手続き終了まで借金の返済をせずに済みます!
債務整理を依頼された弁護士の最初の仕事は、貸金業者に対し『債務整理を始めた旨の通知(受任通知)』を出すことです。
貸金業者は受任通知を受け取った時点で、債務者に対する借金の取り立てをストップしないといけない決まりになっています。
つまり、今まで借金の返済に回していた分のお金で税金や弁護士費用を支払えるのです。

自分に合った債務整理を選べる
債務整理にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

相談者さまにはそもそも債務整理が必要なのか、必要ならばどれがいいのか、自己判断は難しいと言わざるを得ません。
弁護士に相談することをためらっているうちに、利息や遅延損害金が増えていく一方です。
無料で相談できる法律事務所も多くありますから、まずは相談だけでも踏み出してみることをおすすめします。
実績のある弁護士が、匿名・無料・全国どこからでも相談に応じてくれるので安心です。

差押予告書が来た!誰に相談?財産の差し押さえを止める方法! まとめ
差押予告書が届いたらどうればいいのかをご紹介しました。
差押予告書が届いたら、すぐに役所へ相談することが何よりも大切
税金の取り立てからは逃れられない
債務整理によって税金が払えるようになるかもしれない
差押予告書が届いても、財産差押えまでの間にまだ出来ることがあります!
役所への相談が大切ですが、税金以外に借金がある場合には専門家にも相談してみましょう。
借金の減額により資金に余裕ができて納税できたら、相談者さまの困りごとは一気に解消できます♪
相談するための少しの勇気が、明るい未来への第一歩となりますように!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。