自己破産など債務整理をおこなうと、官報が関わってくるため、不安感を抱く方も多いでしょう。
しかし、官報は相談者さまが考えているほど、危険なものではありません。
そこで、本記事のポイントはこちら。
自己破産が官報に掲載されると、周囲にバレるのかを解説します
自己破産などの債務整理を検討している方の心が、少しでも軽くなれば幸いです。
また、法律知識が一切なくてもこの記事は理解できますので、安心して読み進めてくださいね。
官報とは自己破産者にとってどんなもの?

官報は、内閣府が発行する広報誌です。
そして、官報が扱う情報はこちら。
- 新しい法令や既存の法令の改正
- 行政機関内の人事
- 閣議決定に関する資料
- 皇室情報
- 国家試験や登録者情報
- 教職員の免許失効情報
- 身元不明死亡者の情報
- 高速道路の料金変更
- 企業の廃業や個人の破産情報 など
官報は、「国民が知っておくべきとされる情報」をお知らせする広報誌として、作成されています。
自己破産と官報の関係
実は、官報に自己破産情報を載せる目的は、「債権者に破産情報を知らせるため」なのです。
自己破産時には、破産した人の財産を処分します。
その際に、財産の処分や売却によって発生したお金を、貸金業者などの債権者が受け取る決まりです。
もし、債権者が知らない間に手続きが開始されていたら、債権者は損をしてしまいます。
また、自己破産の手続きを進める上で、借入先情報を誤って裁判所に提出していたり、特定の債権者を除外していたりする可能性もあるでしょう。
そこで、官報を通じて破産情報を発信し、債権者に不利や誤情報が発生していないかを確認してもらうのです。
官報を閲覧する4つの方法
官報を閲覧する方法は4つあります。
- 各都道府県の官報販売所で購入する
- 通販で取り寄せる
- 図書館で閲覧する
- インターネット版の官報を利用する
各都道府県の官報販売所で購入する
全国48カ所に官報販売所があり、定期購入と部売りに対応しています。
- 定期購読(1カ月):1,641円(税込)
- 部売り(1部32貢ごと):143円(税込)
特定の項目だけがほしい方に向けて「部売り」もしており、発行日の4営業日前までに申し込むと購入できます。
通販で取り寄せる
全国官報販売協同組合のホームページから取り寄せが可能です。
定期購読のみで、料金は1カ月3,841円(税込・送料込)となっており、オンライン上のフォームを入力・送信すると販売所から連絡が来ます。
図書館で閲覧する
各自治体が運営する図書館では、紙媒体とオンラインのデータベース、インターネット版での閲覧が可能です。
施設によって閲覧システムやルールは異なりますが、場所によっては有料の印刷サービスにも対応しています。
詳しくは最寄りの図書館へお尋ねくださいませ。
インターネット版の官報を利用する
オンライン版の官報では、直近30日間に発行された官報を無料で見れます。
直近30日より前の情報を知りたい場合は、有料の「官報情報検索サービス」へ申し込むと、最新から昭和22年5月3日発行分までさかのぼっての閲覧が可能です。
「官報情報検索サービス」の料金
料金プラン | 紙媒体を 定期購読している場合 |
新規申し込みの場合 |
日付検索のみ |
無料
|
月額1,672円(税込) |
日付+記事検索 | 月額528円(税込) | 月額2,200円(税込) |
料金プランは2種類で、「官報が発行された日付」で検索する方法と、「日付+キーワード」で検索する方法があります。
官報に載ったら自己破産はバレる?現実はコレ

自己破産の情報が官報に載ると、借入先である債権者は高確率で目を通すでしょう。
しかし、債権者だけでなく、身内や職場の人、友人など周囲の人々にもバレたらどうしよう、と不安ですよね。
安心してください。
官報に載った情報が周囲にバレる可能性はとても低いのです。
周囲に気づかれる可能性が低い背景には、こんな現実があります。
- 官報を知らない人が大半である
- ネットでキーワード検索しても出てこない
- 紙の官報を入手・閲覧するのは難しい
- ネット版の官報を無料で閲覧できる期間は有限である
- 官報の情報検索サービスは無料ではない
官報を知らない人が大半である
そもそも官報は、自らの意思で特定の号を閲覧・購入しようと思わない限り、人の目に触れることはありません。
借金や破産に関わっていない人にとっては、「官報」という言葉自体、聞く機会がほぼないでしょう。
そのため、相談者さまの借金を知っている人が、その事実を周囲に話さなければ、誰も官報を調べようとは思いません。
ネットでキーワード検索しても出てこない
官報に掲載された情報をネットでキーワード検索しても、対象の記事は出てきません。
以前は「破産者マップ」と言われる、自己破産者の情報をまとめたウェブサイトがあり、個人名で検索すると、対象の官報PDFが表示されていました。
しかし、プライバシー権の侵害が問題となり、2019年3月に破産者マップは閉鎖しました。
そのため、現在は個人名や住所を入れても、官報や破産情報は一切表示されません。
紙の官報を入手・閲覧するのは難しい
閲覧方法の一覧でも確認したとおり、いずれの場合も直接足を運んだり、有料であったりと手間が多いです。
また、紙媒体で購入する場合には、これから発行される官報に対してしか申し込みができません。
そのため、過去に発行された官報にご自分の情報が掲載されているのであれば、不安に思う必要はないですよ。
図書館やインターネットで閲覧する場合でも、相談者さまの情報が載っている官報を探し当てるのは、かんたんなことではありません。
そこまでして相談者さまの情報を手に入れたい方はいるでしょうか?
インターネット版の官報を無料で閲覧できる期間は有限である
インターネット版の官報は、直近30日分しか無料で閲覧できません。
30日以前のものを見たい場合は、有料の会員登録が必要なため、多くの方は諦めるでしょう。
仮に、無料期間内に掲載された情報であっても、大量のデータから相談者さまの破産情報を見つけ出すのは骨の折れる作業です。
身内や知り合いがわざわざネット版を利用して、直近のデータを検索すること自体、起こりうる可能性は低いでしょう。
官報の情報検索サービスは無料ではない
そして、無料期間から外れた官報を閲覧するにはお金がかかります。
官報情報検索サービスは、会員登録と定期利用が必要ですので、たった1回のために定期登録する一般の方はまずいません。
このサービスを利用する人の多くは、以下の事業者や事業所です。
- 法律事務所
- 会計事務所
- 金融機関
- 信用情報機関
- 闇金業者 など
自己破産後の官報掲載に関する疑問

Q:自己破産によって官報に掲載される情報は?
A:自己破産した場合、官報には住所や名前が載ります。
実は、自己破産とひとくちに言っても、2種類あるのです。
- 同時廃止事件
- 管財事件
それぞれの違いはこちらの記事でお話ししていますので、参考になさってください。
【自己破産】メリット・デメリットを解説!手続き後はこんな影響が!
そして、約90%の自己破産に「同時廃止事件」が適用されています。
ここでは、同時廃止事件の際に掲載される情報を見てみましょう。
まずは、手続きが開始される際に、公告される情報です。
※行政機関などが一般向けに情報を公開することを「公告」と言います。
項目の種類 (掲載順) |
掲載例 |
事件番号 | 〇〇年(フ)第◯◯◯◯号 |
住所 | ○○県○○市○○町〇〇番〇〇号△△ |
氏名 | 債務者 〇〇 〇〇 |
決定年月日時 | ○○年○○月○○日午前(午後)〇〇時 |
主文 | 債務者について破産手続を開始する。本件破産手続きを開始する。 |
理由の要旨 | 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。 |
免責意見申述期間 | ○○年○○月○○日まで |
管轄裁判所名 | ○○地方裁判所(○○支部) |
そして、破産手続きの終了時にも、公告されます。
免責が認められたのかどうかを債権者に知らせるために、載せるのですね。
免責許可の決定後に掲載される公告内容
- 事件番号
- 住所
- 氏名
- 免責許可が決定した日時
- 主文「破産者について免責を許可する」
- 管轄の裁判所名
個人情報としては、名前や住所がメインです。
Q:自己破産したらいつ官報に載る?
A:自己破産の事実が官報に載るタイミングは2回あります。
掲載情報でも紹介したとおり、「破産手続きの開始が決定されたとき」「破産手続きが終了して免責の許可が下りたとき」です。
そして、裁判所で手続きが決定した日と、官報への掲載には多少のズレがあります。
同時廃止の決定時:7〜10日後に官報へ掲載
免責許可の決定時:2〜3週間後に官報へ掲載
Q:自己破産が官報へ掲載されている期間は?
A:官報から破産情報が消されることはありません。
官報は昭和22年5月3日発行号以降、すべての号が行政機関によって管理・保管されています。
そのため、大元のデータが消去されない限りは、ずっと残るのです。
ただし、債務状況を管理している信用情報機関では、決められた年数だけ官報情報を保管し、期間が満了すると削除します。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー):5年
- JICC(日本信用情報機構):5年
- KSC(全銀協/全国銀行個人信用情報センター):10年
信用情報機関でのデータが削除されたら、それまで止められていたクレジットカードの利用や契約、新規借入も再び可能となるでしょう。
Q:官報に載らないケースはある?
A:自己破産すると必ず官報に掲載されます。
債務整理手続きである「自己破産」「個人再生(民事再生)」をおこなうと、官報へ掲載されるのです。
一方で、「任意整理」や「過払い金請求」「特定調停」を利用した場合には、掲載されません。
Q:官報は誰が閲覧しているの?
A:官報を閲覧するのは、主に金融関係者です。
そもそも官報を定期購読してまで見る必要がある人は限られています。
- 法律事務所
- 会計事務所
- 金融機関
- 信用情報機関
- 闇金業者
- 警備会社
- 各自治体の税務担当者 など
借金や金融に関わる職業に就いている人以外が、官報の破産項目を定期的に閲覧している可能性は低いでしょう。
官報に載るなら自己破産はやめるべき?

官報に相談者さまの情報が載っても、周囲にバレるリスクは少ないと言えます。
それでも、個人情報が掲載されることに対して、恐怖を感じる方もいるでしょう。
そうなると「自己破産はしないほうがよいのかな?」と手続きにもマイナスなイメージが膨らんできてしまいます。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産は、裁判所で返済義務を帳消しにしてもらえる手続きです。
手続きのメリットとデメリットはこちら。
【自己破産】メリット | |
概要 |
|
【自己破産】デメリット | |
概要 |
|
しかし、現時点で背負っている借金が「帳消しになる」のは、なににも代えがたいのではないでしょうか。
また、事情があって働けない無職状態の人でも手続きできる点は、ほかの債務整理にはないポイントです。
デメリットの内容も見比べてみると、官報に掲載される点はそこまで注視する必要はないとわかりますね。
つらい債務状況を改善するには、本当に自己破産をすべきなのか、とまずは総合的に判断してみてください。
自己破産を考えているなら弁護士への相談が必須
自己破産の特徴を知った上で手続きを検討しているのであれば、個人で決めてしまう前に、まずは弁護士へ相談してみるのがよいでしょう。
というのも、弁護士に相談するだけで「お得」が増えるのです。
- 的確で客観的なアドバイスがもらえる
- 手続きを弁護士に依頼するだけで、貸金業者からの督促を止められる
- 複雑な自己破産手続きを安全で有利に進めてくれる
的確で客観的なアドバイスがもらえる
そもそも自己破産が本当に合っているのか、と不安に思いますよね。
そこで弁護士に相談すると、相談者さまの債務状況を冷静に分析して、どの方法が最適か助言してくれます。
また、ご自分では不可能だと思っていた、自己破産以外の手続きも利用できると判明するかもしれません。
手続きを弁護士に依頼するだけで、貸金業者からの督促を止められる
弁護士に債務整理の手続きを依頼すると、貸金業者に「受任通知」を送付してくれます。
受任通知は、貸金業者の督促行為を止める法的拘束力があり、一度送付すれば、相談者さまの返済活動をすぐに止められるでしょう。
個人では難しい自己破産手続きも安全&有利に進めてくれる
自己破産手続きは、裁判所を通すため非常に複雑です。
これまで法律にふれる機会がなかった方からすると、提出書類の項目を理解するのも困難かもしれません。
また、一人で書類を作成していると、記入漏れやミスなどの準備不足が原因で、手続きが途中で止まってしまう可能性もあります。
しかし弁護士なら、申請する裁判所によって書類の扱いが異なる点も熟知しています。
自己破産をはじめ、債務整理の実績が多い法律事務所に依頼することで、書類作成も安心して進められますよ。
弁護士が代理人になると有利に進めてくれる裁判所もある
実は、個人で破産の申し立てをおこなうより、弁護士が代行したほうが裁判所も有利に手続きを進めてくれるケースがあるのです。
たとえば、申し立ての当日や3日以内に面接して、手続きが始まるまでの待ち時間を短縮してもらえます。
というのも、裁判所にとっても自己破産は複雑な手続きなため、スムーズに処理してくれる弁護士は助かる存在なのです。
ちなみに、こんなメリットが裁判所側にもあります。
- 時間が短縮できる
- 費用を抑えられる
もし、どの法律事務所に相談すればよいか悩んでいるなら東京ロータス法律事務所さんはいかがでしょう?
無料相談できる
債務整理の実績が多い
匿名&地方在住でも電話やメール相談が可能
自己破産するかどうかわからない状態でも、問題はありません。
まずは、ご自分の抱える悩みを、無料相談を通して気軽に話してみてくださいね。

官報への掲載は周囲にバレる?自己破産したらいつ載るの?詳細を解説 まとめ
官報と自己破産の関わりを詳しく解説しました。
自己破産で官報に掲載されても周囲にバレる可能性は低い
(自己破産の場合) 官報に掲載されるのは手続き開始時と終了時の2回
官報には名前や住所が掲載される
自己破産したいなら弁護士の無料相談後に決めるのがおすすめ
官報は気軽に閲覧できるものではないとわかりましたね。
また、相談者さまが掲載されたであろう号を特定するのも、一般の人には非常に難しい作業です。
それよりも、相談者さまにはもっと向き合っていただきたい事実があります。
それは、官報へ載ることを気にしている間にも借金は増えていること。
借金問題は、返済が滞れば滞るほど、利息や遅延損害金が増えて完済が遠のきます。
相談者さまも、ご自分では手に負えないほどの借金を抱えてしまったから、自己破産の詳細を調べているのではありませんか?
実は官報への掲載は、手続きによる代償の中で、最も軽いものです。
大切な資産を失ったり、保証人を巻き込んだりするデメリットのほうが、自己破産では注目されています。
そのため、可能であれば早期に弁護士へ相談し「自己破産以外の方法で解決する」のが借金解消の王道ルートと言われているのです。
相談者さまも、今から弁護士に相談すれば、自己破産以外で借金問題を解決できるかもしれません。
任意整理や過払い金請求で済むなら、官報への掲載を不安に思う必要はないのですよ。
債務整理と官報掲載の有無
債務整理の種類 | 裁判所を 通す必要 |
全国の債権者に 知らせる必要性 |
官報掲載 |
任意整理 | なし | なし | なし |
過払い請求※ | なし | なし | なし |
個人再生 | あり | あり | あり |
自己破産 | あり | あり | あり |
過払い金請求※裁判所を通す場合もあるが、全国の債権者に知らせる必要がないため官報に掲載されない。
いずれにしても、悩んでいるより行動に移して、弁護士から良心的なサポートを受けるのが解決への近道と言えるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。