貸金業者からお金を借りるのと、どう違うの?
最近、しばしばSNS上で聞く「個人間融資」。
気軽に「お金を貸します」と言われるとつい利用しそうになりますが、実は金融庁から注意喚起が促されるくらい危ないのです。
そこで、本記事のポイントはこちらです!
- 個人間融資は借金問題に関するあらゆるトラブルの温床です
- 個人間融資での借金問題は債務整理で解決しよう
この記事を読んで、個人間融資の危険性を知り、正しく自分の身を守りましょう。
即日入金の個人間融資って本当に危険なの?

個人間融資とは、個人と個人の間でお金の貸し借りをすることです。
家族や友人とのお金の貸し借りも「個人間融資」になりますが、最近は特に「SNS等を利用した顔も名前も知らない人とのお金の貸し借り」が問題になっています。
個人間融資はなぜ危険なのでしょうか?
それは、トラブルの温床になりやすいからです。
具体的にどういうトラブルが起こりやすいのか、次項から詳しく見ていきましょう。
高額な金利によってさらに借金が増える
貸金業者からお金を借り入れる時は、その業者が定めた金利がつきますよね。
実は、個人間でのお金の貸し借りでも金利はつくのです。
お金を貸してくれるのが貸金業者と個人のどちらであっても、お金の貸し借りには利息制限法と出資法が適用されます。
ただし、貸金業者を利用する場合と個人間融資では、利息に対する上限金利が異なります。
まず、貸金業者がお金を貸す場合、利息制限法に基づく利息は、元本の金額によって上下しますが上限金利は年15%~20%までと定められています。
出資法においてもほぼ同じであり、上限金利は年20%です。
一方個人間融資では、利息制限法に基づく上限金利は15~20%ですが、出資法に基づく上限金利は年109.5%(1日あたり0.3%)と非常に高金利なのです。
法律違反じゃないの?
これは、いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれるものに相当します。
以前の出資法では貸金業者が設けられる金利は29.5%でしたが、グレーゾーン金利が問題となったことで引き下げがあり、ほぼ同じ金利に落ち着きました。
しかし、個人間融資はこれに当てはまりません。
しかも、出資法には厳しい罰則が設けられていますが、利息制限法には特に罰則が設けられていません。
そのため、個人間融資では高い利率での利息を設定されてしまいやすいのです。
出資法違反による罰則は次の通りです。
- 上限金利が年20%を超えた場合
→5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金 - 上限金利が年109.5%を超えた場合
→10年以下の懲役、または3000万円以下の罰金
個人間融資ならではのトラブル
仕事としてお金を貸す場合、貸金業法により都道府県に届出をしなければなりません。
さらに、きちんと登録されている貸金業者は、借金の取り立て行為についても貸金業法により細かく規制されています。
度を超えた取り立てによって命に危険が及ぶようなことはありません。
ところが、無登録の個人間融資だとその法律は適用されず、行政指導などの対象外となってしまいうのです。
もし個人間融資で作った借金の取り立てが厳しいものだったとしても、相手が無登録である以上、個人同士のトラブル(民事のトラブル)という扱いになる可能性があります。
つまり、民事不介入の原則により、個人間融資によるトラブルに対して警察が介入することは難しいということです。
犯罪の手伝いをさせられるリスク
個人間融資には闇金業者や詐欺グループなど、悪質な業者が関係しているケースが多くあります。
その悪質な業者は、個人間融資で借金を作った人たちに激しい取り立てをし、精神的に追い詰めていきます。
取り立てから逃れるために「早く楽になりたい」と思わせ、そのうち「稼げるバイトがある」などの誘い文句で犯罪行為の手伝いをさせるのが手口です。
- 銀行口座の売却・譲渡(犯罪収益移転防止法違反)
- 携帯電話の名義の売却・譲渡(携帯電話不正利用防止法違反)
- 詐欺行為の「出し子(現金を引き出しに行く役)」、「受け子(現金を受け取る役)」
- 違法薬物などの運び屋
個人情報を悪用される
個人間融資を受ける際、いくつか個人情報を提供しなければいけません。
電話番号、メールアドレスだけでなく、銀行口座、免許証や保険証の写真、SNSのIDなども求められる場合もあります。
ところが、金融機関の個人情報を渡した途端に音信不通になったり、連絡先などの個人情報が悪質な業者に流されたりするケースもあります。
先述したように、個人間融資には悪質な業者が関係していることがあります。
悪質な業者は横のつながりが強いため、ターゲットの個人情報を共有します。
結果的に、さまざまな業者に個人情報が流出する可能性が十分に考えられるのです。
悪質な業者は、奪った個人情報を犯罪に利用したり、押し貸し(無理やりお金を貸しつけられること)をしたり、借りた人の親・兄弟・会社などに嫌がらせをしたりします。
安易に個人間融資を利用することで、家族や職を失う事態になりかねません。
詐欺の被害にあう
個人間融資は顔も名前も知らない他人同士でお金の貸し借りをするため、貸す側にも「返済されない」などのリスクが起こりえます。
それを逆手に取った詐欺行為にも気を付けたいところです。
- 「保証金として1万円振り込んでくれたら融資をする」
- 「借用書を作るので、先にその作成費用を振り込んでほしい」
このように言って先にお金を振り込ませ、受け取ったら連絡を絶つという手口が多いです。
もしくは、初回だけ保証金を振り込ませてから本当に融資をして信じ込ませ、2回目以降の利用の時に保証金だけ受け取って連絡を絶つというケースもあります。
性的被害にあう
主にお金を借りたい女性を対象にして、「ひととき融資」がされていることもあります。
「ひととき融資」とは、融資の対価として性行為やわいせつな写真・動画などを要求することです。
よくある手口は以下の通りです。
- 「性行為に応じないなら利息を増やす」と脅迫する
- 融資や返済のたびに性行為を強要する
- 性行為を動画に撮影し、アダルトサイトに投稿する
- 「返済ができないのならネットに全裸の写真をばらまく」と脅迫する
個人間融資を利用しがちなのはこんな人

ここまで個人間融資におけるリスクを解説してきました。
少額のお金を借りたいだけだったのに、その後の人生を左右してしまうようなことに巻き込まれかねません。
では、銀行や貸金業者からもお金は借りられるはずなのに、なぜ個人間融資を利用してしまう人がいるのでしょうか?
未成年者、高齢者、専業主婦
銀行や貸金業者では、お金を借りる人の年齢制限を設けています。
利用できるのは20歳からで、上限は大抵65~69歳に設定されています。
その枠に入れない人たち、つまり19歳以下の未成年者や70歳以上の高齢者などが個人間融資を選択するケースが多いです。
また、夫に内緒で借金をしてしまった専業主婦の中にも、個人間融資を利用してしまう人がいます。
継続して安定した収入を得ているわけではないので、貸金業者の審査に通りにくいからです。
新規の借り入れができない人
ブラックリストに載っていたり、既に何社からも借り入れをしている人も個人間融資を利用してしまいがちです。
なぜなら、個人間融資には審査がなく、「お金が必要だ」と思ったらすぐに借りられるからです。
個人間融資でさらに借金を増やしてしまい、多重債務に陥ってしまうパターンも少なくありません。
危険な個人間融資は掲示板やSNSに潜む

個人間融資のやり取りがされているのは、主にインターネット掲示板やTwitterなどのSNSです。
これは、ヤミ金融対策法などによって法規制が厳しくなり、実店舗を経営しにくくなった闇金がインターネットに潜り込んでいるからです。
よく利用されている個人間融資の掲示板
- はなまる
- ドットコム
- くじら
- レンタルキャッシュ
- アルファ
そのため、もしその掲示板で個人間融資のトラブルが発生したとしても、サイト側から何かしらの補償がされることはないだろうと覚えておいてください。
たとえば、Twitterで「明日お金がいる」などと呟けば、「融資します」と向こうからダイレクトメッセージが届くことがあります。
困っている人を甘い言葉で罠にはめ、お金を騙し取ろうとする人は案外身近にいるものです。
個人間融資で被害にあってしまったら?

利息制限法や出資法のことを知らず、もしくは軽視し、個人間融資を利用してしまう人もいるかもしれません。
過去に個人間融資で被害にあった、あるいは今被害にあっているという人へ向けて、被害にあったらどうすれば良いのか解説していきます。
相談窓口
- 金融庁:金融サービス利用者相談室(平日10時~17時)
電話:0570-016-811(IP電話からは03-5251-6811)
FAX:03-3506-6699 - 消費生活センター等の消費生活相談窓口
電話:188(消費者ホットライン) - 警察
電話:#9110(各都道府県警察相談ダイヤル) - 日本貸金業協会:貸金業相談・紛争解決センター
電話:0570-051-051(IP電話からは03-5739-3861)
警察に相談する
先述した通り、個人間融資でのトラブルは基本的に民事のトラブルになるため、警察の介入は難しくなります。
しかし、個人情報を悪用されたり、詐欺や性的被害にあったりした場合は警察も動いてくれます。
その時に一緒に提出できるよう、これまでのやり取りの証拠なども手元に残しておきましょう。
弁護士に相談する
警察とは異なり、弁護士は個人と個人の間で発生した民事のトラブルを担当します。
法律の専門家である弁護士が介入するというだけでも、相手にとって十分影響を与えることができるでしょう。
特に、相手が闇金業者である場合、闇金業者の対応に強い法律事務所もあります。
最近は無料相談を行っているところも多いので、悩んでいる場合は一度相談だけでもしてみてはどうでしょうか。

個人間融資を利用し続けるとどうなるの?

借金を返すための借金をしたり、「少額だからすぐ返済できるはず」と思い込んだりして、軽率に個人間融資を利用している人がいます。
しかし、お金を貸す側は、利益があるからお金を貸すのです。
心からの善意でお金を貸してくれる人もいるかもしれませんが、限りなく少ないと思っていいでしょう。
つまり、個人間融資で貸したお金が簡単に全額返済されたら、貸した側に利益は1つもありません。
したがって、借りる側に不利な条件を設定したり、返済できないように邪魔をしたりするケースもあります。
具体的にどう悪化してしまうのか、次項から見ていきましょう。
今よりも借金が増える
個人間融資では、貸金業者が設定するよりも高額の金利が設定されることが多いです。
そのため、元本は少額だったはずが、利息のせいで総返済額が膨れ上がってしまうことがあります。
当然期限までに返済するのが難しくなりますが、少しでも滞納するとしつこい取り立てが待っています。
特に闇金業者相手となると、自分だけでなく家族、親、兄弟、会社にまで迷惑をかけることになります。
残されるのは「自己破産」のみ!?
貸金業者からも個人間融資からも借り、その借金の総額があまりにも膨れ上がってしまうと、最終的に自己破産をするしかなくなります。
自己破産の手続きをすれば借金は全て免除されてゼロになりますが、家や車、そのほかの財産もほとんどを手放すことになります。
自己破産のデメリットには以下のようなものがあります。
- 家、車、不動産、20万円以上の価値がある物、99万円以上の現金などを手放さなければならない
- 「ブラックリスト状態」になり、新たに借り入れや、奨学金などの保証人になることができなくなる
- 職業によっては就業制限を受け、解雇されるか、業務を制限される可能性がある
- 保証人がいる場合、その保証人に迷惑がかかる

個人間融資の借金は債務整理で解決しよう

正規の貸金業者ではない個人間融資で作った借金でも、債務整理をして減額することが可能です。
先述したように、個人間での借金取り立てに法規制はほとんどないようなものです。
自分で交渉しようとしても、連絡先を知られている以上、取り立てが嫌がらせに発展するケースもあります。
自分や自分の周りの人を守るためにも、法律と交渉の専門家である弁護士に間に入ってもらい、早期解決を図りましょう。
特に、個人間融資は任意整理という方法で解決することが多いです。


任意整理は裁判所を介さない手続きで、弁護士が貸金業者と交渉をして借金の減額を図るというものです。
やり取りの相手は弁護士のみで、全てお任せしてしまえるという利点もあり、債務整理の中では任意整理が一番選ばれています。
加えて、任意整理では裁判所からの書類などが届くことはないため、家族や会社にバレにくいという側面もあります。
つまり、夫にバレたくない専業主婦にもおすすめです。

「弁護士に相談したいけどお金がない」という人のために、無料相談や弁護士費用の後払い・分割払いに対応しているところもあります。
自分の置かれている状況を包み隠さず話し、弁護士と一緒に最適な返済プランを考えましょう。
債務整理に強いので、あなたにぴったりの解決方法を探してくれますよ。

「即日入金」に惑わされないで!個人間融資の危険性とは? まとめ
本記事では、個人間融資におけるトラブルについて解説しました。
個人間融資には闇金業者が多く潜んでいる
個人間融資で被害にあったら、すぐに弁護士に相談するのが有効
個人間融資で作った借金も債務整理で解決することができる
個人間融資で犯罪に巻き込まれ、被害者になるだけでなく、知らないうちに加害者になってしまうこともあります。
正しい知識を身につけ、個人間融資は最初から利用しないようにしましょう。
ただ、もし既に個人間融資を利用してしまい、そこで作った借金に苦しんでいるのであれば、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士費用が心配であれば、まずは無料相談から始めてみてはどうでしょうか?
債務整理に明るい弁護士なら、きっとあなたの強い味方になってくれるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。